罪なき市民を狙った卑劣な凶行を断じて許すことはできない。

 スリランカの最大都市コロンボや周辺の教会、ホテルなど8カ所で日本人1人を含む290人が死亡する連続爆破が起きた。負傷者も500人以上に上る。

 シリセナ大統領は「テロ」と断定した。犯行声明は出ていない。

 最初の6カ所は自爆テロで、キリスト教徒や外国人を標的にした可能性があるという。

 既に拘束したイスラム教徒10人以上から事情を聴くなど、捜査が進められている。実行犯の身元や動機、背後関係を徹底解明しなければならない。憎悪と暴力の連鎖を断ち切るため、国際社会は結束を強めたい。

 事件は21日午前(現地時間)に発生した。コロンボ、西部ネゴンボ、東部バティカロアにある三つの教会と、コロンボ中心部の三つのホテルなどで爆破が相次いだ。

 広域的な場所でほぼ同時に起きており、周到に準備された計画的犯行とみて間違いなかろう。

 2009年に内戦が終結して以降、最悪規模のテロ被害となる。当局はイスラム過激派が関与したとみているが、民族・宗教対立を巡る不測の対立が激化し、治安が悪化しないか気がかりだ。

 同国では人口の約7割をシンハラ人中心の仏教徒が占める。1割強がタミル人のヒンズー教徒、イスラム教徒は約1割、キリスト教徒は1割弱でいずれも少数派だ。

 内戦では独立を求めるタミル人がシンハラ人と約25年にわたり争った。終結後の治安は比較的安定していたが、一部の仏教徒が過激化し、昨年3月にはイスラム教徒と衝突するなどした。

 内戦終結時に反政府組織は武装解除に応じたが、その後の武器管理などは十分だったのか。爆発物が地下組織の間に出回り、犯行に使われた可能性もある。

 観光立国のスリランカは経済成長が続く一方、巨額の対外債務を抱える。過去にキリスト教徒や外国人を狙われたことはほぼなかった。テロが観光客減少につながれば国内経済に影響しかねない。

 昨年秋以降、首相解任を巡り混乱が続いたが、スリランカ政府は国内対立を乗り越え、テロや治安対策に総力を挙げてほしい。

 日本人にも死傷者が出ている。日本政府はスリランカの和平プロセスに積極的に関与し、平和構築や経済復興を後押ししてきた。しっかり連携し、現地邦人や旅行者の安全対策に万全を期してもらいたい。