映画「スターウォーズ」シリーズに登場するキャラクター「ヨーダ」は、思慮深い賢者だと設定されている。京都のある映画脚本家がモデルになったといわれている▼日本映画の黄金時代に溝口健二監督とのコンビで国際的に知られた故依田義賢(よだよしかた)さんだ。ジョージ・ルーカスやフランシス・コッポラら若き映画人から「ヨダ」は敬愛された▼依田さんに師事した太田米男さん(69)=京都映画芸術文化研究所代表理事=は「若い人たちと語ることを好み、言葉に深い人生論を感じた」と振り返る。同研究所は誕生110周年を記念して業績と人柄をたどる行事を先日催した▼「依田義賢 人とシナリオ」(日本シナリオ作家協会刊)の企画編集に携わったシナリオライター大津一瑯(いちろう)さんは、日米の歴史をたどる未完の映画構想があったと語った▼コッポラが1978年末に京都市で依田さんと面談して協力を要請した。黒船来航から原爆投下に至る壮大な構想を明かしたのは、信頼されていたからだろう▼格調高い「雨月物語」から「悪名」など娯楽作まで幅広い作品を残した依田さんについて「しなやかで竹のような感受性には京都人としての自覚が原点にあった」と大津さんは評した。賢者とみなされる存在をはぐくんだのは、京都の文化土壌といえるだろう。