間近で撮影されたアライグマ(2020年12月、莵道高提供)

間近で撮影されたアライグマ(2020年12月、莵道高提供)

学校林の獣道沿いに自動撮影装置を仕掛ける科学部員ら(宇治市五ケ庄・莵道高)

学校林の獣道沿いに自動撮影装置を仕掛ける科学部員ら(宇治市五ケ庄・莵道高)

自動撮影装置が捉えた、ぬかるみに体をこすりつけるシカ(2021年11月、莵道高提供)

自動撮影装置が捉えた、ぬかるみに体をこすりつけるシカ(2021年11月、莵道高提供)

地上を走るニホンリス(2019年12月、莵道高提供)

地上を走るニホンリス(2019年12月、莵道高提供)

撮影装置の前を横切るキツネ(2021年1月、莵道高提供)

撮影装置の前を横切るキツネ(2021年1月、莵道高提供)

 京都府宇治市五ケ庄の莵道高科学部が、校舎の裏山の学校林にすむ哺乳類について、自動撮影装置を使った研究を5年間続けている。膨大な写真から動物の種類や時間帯ごとの出現頻度を集計し、3年前の台風による植生の変化でシカが増えたことなどを突き止めた。

 2018~20年度には、計約1600枚の写真が撮影された。13種類の哺乳類を確認し、どの年もシカが最も多かった。特に19、20年度は18年度より約3割頻度が上がり、全体の6割以上を占めるようになった。

 部員らは、その原因を18年9月の台風被害とみている。学校林で多くの木が倒れ、地表に光が差し込むことで草が生えやすくなっており、「柔らかく食べやすい新芽を求めてシカが多く来ている」。逆に、樹上で暮らすテンやリスは台風後に少なくなった時期があるといい、「枝が折れるなどすみづらくなったのでは」と推測する。

 シカは日の出や日没前後に多く撮影され、学校に人が多い時間帯は避けているとみられる。例年は繁殖期で活発に動く夏前と秋に多いが、昨年4~5月は新型コロナウイルス禍で臨時休校したためか、撮影頻度が増した。部員らが中庭の畑で育てていたサツマイモも葉を食べ尽くされる被害に初めて遭い、シカよけのネットを張るようにした。

 イノシシの急減も分かった。18、19年度は撮影数の15%程度を占めていたが、20年12月以降は1頭しか写っていない。宇治市内では昨年冬に豚熱(CSF)でイノシシが全滅したといわれており、学校林からも消えたと考えている。

 副部長の2年押田逞弥さん(16)は「餌になる植物の場所と動物の出現頻度の関係などを今後も研究したい」と意気込む。

 莵道高は校舎の裏に広葉樹やスギの林が広がる約1ヘクタールの学校林を有し、生物の授業などで活用してきた。グラウンドにもシカのふんや角が落ちていることがあり、2017年、科学部が自動撮影装置による調査を開始。現在は1、2年生計12人が取り組む。

 赤外線センサーで動物の体温を感知し、自動でカメラのシャッターが降りる。体についたダニなどを落とすために動物が泥水を浴びる「ぬた場」や獣道など3カ所に仕掛けて2週間ごとにデータを回収し、時刻や写った動物の種類を記録する。

 体の一部しか写らないこともあるが、尾にしま模様があればアライグマ、細長い尾はハクビシン―といった特徴から分類する。2年佐竹葵さん(16)は「最初は先輩や先生に聞いていたけれど、ずっと見ていると分かってきた」と話す。

 10月末、府高校総合文化祭で研究成果を発表して優秀賞に輝き、来年夏の全国高校総合文化祭(東京都)に初出場する。