京焼・清水焼の茶器は中華圏でも人気が高いという(京都市山科区・ギャラリー洛中洛外)

京焼・清水焼の茶器は中華圏でも人気が高いという(京都市山科区・ギャラリー洛中洛外)

香港市場向けに、黒と金のきらびやかな湯飲みをPRする窯元(左)=京都市東山区・京都信用金庫東山支店

香港市場向けに、黒と金のきらびやかな湯飲みをPRする窯元(左)=京都市東山区・京都信用金庫東山支店

中国圏でも人気が高いという京焼・清水焼の「天目」(京都市山科区・ギャラリー洛中洛外)

中国圏でも人気が高いという京焼・清水焼の「天目」(京都市山科区・ギャラリー洛中洛外)

 新型コロナウイルス禍で打撃を受ける京焼・清水焼の窯元らが、海外への新たな販路を模索している。伝統工芸品は近年、インバウンド(訪日外国人)需要に支えられた側面があり、輸出に活路を見いだそうと、窯元と海外客向けバイヤーをつなぐ商談会が11月、京都市内で開かれた。バイヤー側も中華圏の富裕層らに需要があるとみており、京都の高級食器に熱視線が送られている。

 商談会は11月上旬に開かれ、清水焼団地(山科区)や東山区内の窯元12社が参加した。精緻な絵付けや装飾の器が並び、中国の上海や香港に販路を持つバイヤー2社が真剣な表情で制作法などを質問していた。

 出展した茶道具を手掛ける「翠嵐工房」(山科区)の京極慈子さん(50)は「国内茶道人口の減少に加え、コロナで茶会や展示会がなくなり、売り上げが激減した。中華圏にもお茶の文化があり市場の熱を感じる」と述べ、色鮮やかな酒器や香炉をアピールした。

 商談会は多くの窯元を顧客に持つ京都信用金庫東山支店(東山区)が催した。同支店によると、インバウンド比率が高かった陶磁器業界はコロナ禍による売り上げの落ち込みが特に激しく、国内観光客が戻る中でも苦境が続く。給付金や借り入れで何とか事業を存続している状況だが、中国や欧米の富裕層を中心に需要は根強く、支店を挙げて輸出支援に乗り出した。

 実際、海外客向けバイヤーの注目度も高い。奥村企画(右京区)は香港の日系百貨店に直営店を持つ。奥村謙介代表取締役は「香港の富裕層は海外旅行を好むが、コロナ禍でお金の使い道があまりない。外食から家庭での食事にシフトした共働き世帯も多く、巣ごもり消費として高級食器が喜ばれている」と分析する。

 京焼・清水焼の生産や販売の担い手たちも、廃業や人員削減を余儀なくされており、海外への販路拡大に期待する。

 「コロナ禍で売り上げが5割以上減った事業者が大半だ。需要の回復も見通せない」。清水焼団地協同組合(山科区)の北村政彦事務長は話す。観光地の人通りは激減し、陶器市や展示会も中止が相次いだ。組合では、ふるさと納税サイトや国をまたぐ「越境EC(電子商取引)」などへの参入支援も模索している。

 卸売業の「熊谷聡商店」(同区)では、輸出売り上げがコロナ禍後に増加している。一方、雇用調整助成金で従業員の大半に休業してもらい、少人数で耐え忍ぶ苦境にある。熊谷隆慶社長(49)は「かつて観光で訪日し、日本文化や料理になじみのある人が現地で購入してくれていると聞く。京焼・清水焼への潜在的なニーズは高い」とし、インバウンドを含めた海外客需要に期待を寄せている。