東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の上陸から、きょうで1カ月になる。

 全車両の3分の1が水没する被害を受けた北陸新幹線は、被災から約2週間で東京-金沢間の全線直通運転が再開されたが、車両不足が解消できず、ダイヤの全面復旧は本年度末になるという。

 JR東日本と西日本は、水没した全120両の廃車を決めた。被害額は、車両だけで150億円近くに上るという。その他鉄道施設の被害や減便による観光客減など地域経済への影響も含めると、その損失は計り知れない。

 今回の台風は、鉄道インフラの浸水に対する備えの弱さを浮き彫りにした。新幹線を運行するJR各社だけでなく、鉄道事業者は教訓を生かし対策を講じてほしい。

 台風19号の大雨では、長野市の千曲川が決壊し、JR東の車両基地「長野新幹線車両センター」が浸水の被害を受けた。止めてあった北陸新幹線の10編成が水に漬かった。

 長野市が作成した洪水ハザードマップによると、同車両基地は最大10メートル以上の浸水被害が出ると予想される区域内にあった。

 JR東は盛り土で地表から約2メートルかさ上げしていたが、国土地理院の解析では、今回の浸水は約4・5メートルに達していたとみられる。

 車両基地には、鉄道車両を留め置く平らで広大な土地が必要だ。川の流域などでしか、場所を確保できない事情があるだろう。

 だが、台風は進路が予測しやすく、浸水被害への備えには比較的時間の余裕がある。高架線の上に車両を移すなどの対策がとれなかったのか、残念でならない。

 今回の台風でJR東は、栃木県内の車両基地では東北新幹線の車両を事前に避難させ、被害を回避していた。緊急時の状況判断と被害回避の方法が、現場任せになっていなかっただろうか。

 国土交通省によると、全国の新幹線車両基地や留置線計28カ所中、半数以上の16カ所がハザードマップの浸水想定区域にあった。

 新幹線以外にも、地下に設備を持つなど、浸水による被害が想定される路線がある。

 鉄道各社はいま一度、ハザードマップの警鐘を真剣に受け止め、車両基地をはじめ重要施設の立地に応じた被害の軽減策を、急ぎ練り直してほしい。

 車両基地の水没は、鉄道災害対策の盲点を突いた。災害に「まさか」はない、と肝に銘じなければならない。