見つかった国策紙芝居「おほやけのいのち」

見つかった国策紙芝居「おほやけのいのち」

南京攻略を描く紙芝居「七つの石」から=神村講師提供

南京攻略を描く紙芝居「七つの石」から=神村講師提供

 戦時中、子どもたちや町内の「隣組」に戦意高揚や翼賛運動への協力意識を植え付けようと作られた「国策紙芝居」11点が福知山市で見つかった。色鮮やかで保存状態がよく、専門家は「当時の地域の歴史や雰囲気がうかがえて興味深い。平和を考える手がかりに活用してもらえる道を探りたい」としている。

 福知山市のカフェ&ギャラリー「まぃまぃ堂」で見つかった。2014年ごろ、近所の人から持ち込まれた段ボールの中にあったという。「福知山市仏教会」「京都府仏教会」と書き込まれたものもあったことから市内の寺の集まりなどで読まれていたと推定される。同市出身の神村朋佳・大阪樟蔭女子大講師(児童文学)が16年から調査し、分析した成果を「児童文学研究」(日本児童文学学会刊)に発表した。

 今回見つかった国策紙芝居は、1941~44年に発行された。「七つの石」は、貧しくて食べ物を慰問袋に入れて送ることができない少年が宮城(皇居)の石を送り、南京攻略の決死隊がその石を身につけて戦う物語。感情をむき出しに敵を倒す兵士が登場する。

 「おほやけのいのち」は叔父に借りた金が返せなくなって自殺を決意した男性が、妻の妊娠がわかり、隣組や叔父に説得されて「天皇陛下からお預かりした命」に目覚める物語。「常会(隣組)向け」と大人を読者に想定しており、「大政翼賛運動」への参加を呼びかけている。「メロドラマっぽいソフトな内容で、プロパガンダとしての仕掛けが巧妙に見える」と神村さんは分析する。

 紙芝居は神村さんが保管している。「今後、地域で歴史や平和を考えられるよう使ってもらえる機会を持ちたい」と話している。