多額の公金を投じた企業主導型保育事業のずさんな実態が、改めて浮き彫りになった。

 事業を所管する内閣府の調査結果によると、2016~17年度に国の助成決定を受けた全ての企業型保育所のうち、約1割に上る252施設が保育事業を取りやめていた。しかも、214施設は子どもを受け入れる前に中止していたという。

 「申請者の都合」「年度内の整備が着工に至らなかった」「利用児童数を十分に確保できなかった」などが理由だ。

 企業側の甘い運営計画や、助成金交付を決める役割を担ってきた公益財団法人・児童育成協会のおざなりな審査がうかがえる。

 政府は事業拡大を急ぐあまり、チェック体制が不十分なまま安易な参入を許してきた責任を重く受けとめてもらいたい。

 企業型保育所は、安倍晋三政権が「待機児童解消の切り札」として16年度に創設した。

 自治体のチェックを受けない認可外保育所で、開設や運営の基準が緩い上、認可並みの手厚い助成金を受けられるとあって急速に全国に拡大した。

 だが、需要に合わない地域にまで次々に開設されたため各地で乱立による定員割れが起き、助成金目当てのずさんな経営による閉鎖などが相次いだ。

 内閣府によると、18年3月の時点で助成が決まった施設は2597カ所。定員は計約6万人に上るが、開設済みの施設の利用は6割にとどまる。

 これとは別に、会計検査院も利用が低調な施設を調査。内閣府が利用定員の確認や利用者数向上の指導などを児童育成協会に求めておらず、助成金審査が不十分だったことが原因とした。

 内閣府の有識者検討委員会は、新設基準を厳格化し、自治体の関与を強める案などを既にまとめているが、それらで十分か、さらに検討を進めてほしい。

 本来なら、貴重な保育の受け皿となり得る事業である。10月からの幼児教育・保育無償化で、企業型保育所への需要が高まることも予想される。

 量を増やすだけでなく保育の質を向上させ、子どもを安心して預けられる施設にする必要がある。

 企業型保育所は従業員の子どもだけでなく、定数の半分以下なら地域の子どもも受け入れられる。適正に運営されれば地域の有効な待機児童対策ともなろう。議論を深め、より良い形にしたい。