大阪市北区で起きたビル火災の現場

大阪市北区で起きたビル火災の現場

 大阪・北新地の雑居ビル火災では、男が持参した紙袋から漏れ出た液体が引火したとの情報がある。36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件ではガソリンが使われ、有毒な煙が一気に屋内に充満し、避難が困難になったとされる。専門家は可燃性の液体が使われた放火事件での避難の難しさを指摘する。

 京アニ事件で京都市消防局が公表した火災シミュレーションによると、放火の現場となった建物1階では、出火から10秒後という極めて短い時間で濃煙が充満。有毒物質を含む煙と燃焼ガスはらせん階段を伝って上階に達し、2分後には3階建ての建物全体で避難が不可能な状況に陥った。

 京アニ事件の生存者の証言では、熱風と排ガスのような異臭が一気に押し寄せたという。煙は墨汁のように真っ黒で、「伸ばした手の先も見えない」ほどだったと振り返った。

 立命館大の大窪健之教授(都市防災計画)は北新地の火災について、ガソリンや灯油などによる火災では熱と煙が急速に広がるとして、「煙に視界を奪われて避難できなかったか、高濃度の一酸化炭素を吸い込んで短時間で死に至った可能性がある」と推察する。

 京都大の原田和典教授(火災安全工学)は「鉛筆のように細い『ペンシルビル』では階段が一つしかないことが多い。出火が階段に近い場所なら、避難は困難だ。狭い室内では煙が回るのも早かっただろう」と話した。