今津沖中央底層の溶存酸素推移

今津沖中央底層の溶存酸素推移

 昨冬初めて「全層循環」が完了せず、低酸素状態が続いている琵琶湖の深部「第一湖盆」(滋賀県高島市今津沖、水深90メートル)で、10月の台風19号接近後、一時的に前年並みの状態に回復していたことが、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの調べで分かった。ただ、10月下旬から再び酸素濃度が下がっており、県は「危機的状況は脱したが、今季の全層循環が起こるまで注視を続ける」としている。

 大型で非常に強い台風19号が滋賀県に最接近したのは10月12日。16日の測定で、北湖の今津沖中央の湖水1リットル当たりの酸素濃度が前週の2・4ミリグラムから5・0ミリグラムに倍増し、昨年10月16日の5・2ミリグラムに近づいた。第一湖盆に7カ所ある観測点全てで上昇し、県は「台風による強風で湖水が混ざり合った」とみている。
 今津沖中央では今年4月以降、酸素濃度が前年同期に比べて2~5ミリグラム下回る状態が続いていた。8月27日と9月24日の測定では、生物への影響が懸念される基準値(1リットル当たり2ミリグラム)を割り込み、湖底でイサザやヨコエビの死骸が確認されていた。
 全層循環が完了するのは平年なら1月か2月で、遅いと3月ごろになるといい、県は毎週の測定を継続して今季の循環状況を調べる。
 全層循環は、冬場の冷え込みで酸素を多く含む上層の水が比重を増し、下層の水と混ざり合う現象。「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれ、生態系の維持に不可欠とされる。昨季は水深約80メートルまでは達したものの、より深い第一湖盆では確認できず、県は1979年の観測開始以降初めて全層循環が完了しなかったと判断した。