艶やかな黒い毛並みにつぶらな瞳の近江牛たちが、飼育舎の中をのんびりと行き交う。その数、約300頭。「飼料作りや堆肥の処理は機械化が進み、たくさんの牛を飼う農家がずいぶん増えた」。東近江市の畜産農家「中川畜産」の中川晶成さん(48)が、いとおしそうに牛をなでた。

 日本三大和牛の一つ近江牛は「県内で最も長く肥育された黒毛和種」。人気が高く、飼育頭数も多いと思われがちだが、農林水産省の2020年畜産統計では、北海道が52万頭で全国トップ。滋賀は2万頭で29位だった。

 しかし、畜産農家1戸当たりに換算すると、219・8頭と全国2位に躍り出る。1位の北海道に3頭余りの差で及ばなかったが、19年まで3年連続トップを守った。

 その理由を県畜産課は、「高齢化や後継者不足で零細農家が離農する一方、多頭飼いする大規模農家が増えたのでは」と分析する。実際、昨年は03年比で農家数は24ポイント減ったのに、飼育頭数は16ポイント増えている。

 なぜ、滋賀の畜産農家は多くの牛を飼うのか…