日本のものづくりへの信頼が揺らいでいる。

 三菱電機で、また製品検査の不正が発覚した。日立製作所子会社の自動車部品メーカー、日立Astemo(アステモ)でも検査の不実施やデータ改ざんが明らかになった。

 いずれの現場でも不正が常態化し、チェック機能が働いていなかった。メーカーの生命線ともいえる品質への不誠実な姿勢が問われている。

 鉄道車両向け空調機器での不正を受けた三菱電機の外部調査では、五つの製作所で新たに29件の不正を認定した。

 報告書から浮かび上がるのは、倫理観の欠如と手続きを軽視する組織風土だ。

 産業用ブレーカーの規格試験では本来使うべき量産品とは異なるサンプルを使用し、自動料金収受システム(ETC)の防水試験で虚偽の成績証を顧客に提出していた。管理職が容認、強要していたことも判明した。

 安全性に関わる問題でも、非常用発電設備の不具合は「まれな事象」として、顧客から指摘があった場合以外は放置していた。

 調査委員会は、全従業員を対象に不正に関するアンケートの直接送付を求めていたのに、上司が会社に出すよう求めたケースもあったという。問題発覚後も自浄作用が働いておらず、あきれるばかりだ。

 一連の不正の責任を問い、同社は現社長ら新旧役員の報酬減額などの処分を決めた。「規範意識が(他の企業と比べて)突出して低い」と調査委から批判された組織の改革に向き合わねばならない。

 一方、日立アステモの不正は約20年間続いていた。自動車の最重要部品であるブレーキの納入では、必要な抜き取り検査を行っていなかった。

 日立のグループ会社の検査不正を受けて一斉点検が行われていたが、機能していなかった格好だ。

 不正が後を絶たない背景には、仕様通りの検査でなくても「安全性には問題ない」とする自社の技術力への過信やコスト優先の姿勢、人手不足などさまざまな要因が指摘されている。

 各メーカーは、社員研修や内部通報者を保護する仕組みの構築などの対策が不可欠だ。

 品質や安全性に疑いが生じれば、納品先や最終ユーザーを含めて大きな被害と信用の失墜を招きかねない。そのリスクを深く自覚し、受発注の双方が品質確保に責任を持つチェック強化が必要だ。