愛や悲しさ 妄執、孤独も

【女】 小面(雪の小面) 龍右衛門作 室町時代 金剛家

 静かにほほ笑む女性、金色の目の鬼、りりしい美少年。能楽で用いられる能面の名品を紹介する「能面100 The Art of the Noh Mask」が1月2日から、美術館「えき」KYOTO(京都市下京区)で始まっている。

 能面は、日本の美のアイコンとして海外にも知られるが、中国大陸から伝わった散楽が猿楽から能へと発展する過程で神・男・女・狂・鬼に分類される形式が整い、能面も多様な表情や種類が生まれ、定型がそろっていった。

【鬼】 般若 友閑 出目満庸作 江戸時代 マーヴィン・コレクション

 本展は、世界的な能面愛好家で研究者のスティーヴェン・マーヴィン氏(米国)のコレクションを中心に、能楽シテ方の金剛家、篠山能楽資料館(兵庫県丹波篠山市)所蔵の能面100点が並ぶ。

 歳月をかけて磨かれた表情は、人物の属性や感情を捉え、舞台上で能楽師が動くと生きた人間の顔に見える。忘れ難い愛、別れの悲しさ、敵への妄執、老いの孤独。面の表情は動かないのに見る人の胸に迫る。

【神】  日光作 室町時代 篠山能楽資料館

 会場では「少しずつ目の高さを変えて見てもらうといい」と金剛流宗家の金剛永謹さんは提案する。光の当たり方や角度によって、表情は明るくも暗くもなる。小さな面が、物語を豊かに表現する力に驚く。

 草創期のものは生命力にあふれ、完成期のものは澄んだ深みをたたえる。能面の最高峰とされる「雪の小面」(金剛家所蔵)や、舞台では見られないマーヴィン・コレクション、丹波猿楽の伝統を受け継ぐ篠山能楽資料館の名品も楽しみだ。

【男】 中喝食 作者不詳 江戸時代 マーヴィン・コレクション
【女】 増女 是閑 出目吉満作 桃山時代 金剛家
【狂】 橋姫 作者不詳 桃山時代 マーヴィン・コレクション
【鬼】 大飛出 井関親政作 室町時代 篠山能楽資料館


【会期】1月2日(日)~2月6日(日)
【開館時間】午前10時~午後7時30分(入館は閉館30分前まで)※1月2日は午前9時30分開館。会期中無休
【会場】美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
【入館料】一般1000(800)円、高・大生800(600)円、小・中生600(400)円。かっこ内は前売り料金(前売り券は1月1日まで各プレイガイドで発売)。障害者手帳を持つ人と付き添い1人までは当日料金から200円引き
【主催】美術館「えき」KYOTO、京都新聞、日本経済新聞社
【特別協力】マーヴィン・コレクション、金剛宗家、篠山能楽資料館