年明けから、食品の値上げがさらに家計を直撃しそうだ。

 パンや菓子、加工品などのメーカーや外食チェーンなどが、来年1月以降、相次いで商品を値上げする。

 山崎製パンは、パン247品の出荷価格を平均7・3%引き上げる。日本ハムはハムやソーセージ、キッコーマンはしょうゆを、それぞれ2月に値上げする。ミスタードーナツも3月に引き上げる。

 身の回りの幅広い値上げによって買い控えが広がり、消費回復の足かせになる恐れがある。新型コロナウイルス禍から持ち直しの動きがみられる景気が腰折れしないか懸念される。

 値上げの要因は、原材料価格の上昇や円安だ。

 コロナ禍で世界的に落ち込んだ経済活動が米国や中国を中心に再開し、需要が急速に伸びたことで小麦や大豆、牛肉などの価格が上昇している。

 特に原油は、包装資材や光熱費などの幅広いコストアップにつながっている。

 船で物資を運ぶ際のコンテナが足りず、海運価格の上昇や輸送の停滞も一因だ。

 加えて、インフレを抑制するため金融引き締め方針を打ち出した米国と、大規模緩和を続ける日本の金融政策の違いで円安傾向にあることが、輸入される原材料価格をさらに押し上げている。

 11月の全国消費者物価指数は、前年同月比0・5%上昇し、昨年2月以来1年9カ月ぶりの大きな上げ幅となった。

 日銀は2%の物価上昇を目指しているが、黒田東彦総裁は「物価上昇を通じて家計所得に及ぼすマイナス影響が強まっている可能性がある」と指摘する。

 問題は、物価上昇が賃金の伸びを伴っていないことだ。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2020年の名目賃金は2年連続で減少した。足元でも、物価変動を加味した実質賃金は減少を続けている。

 その中で値上げすれば売り上げが落ち込む恐れがあるが、企業の価格抑制努力は限界に達しているとみられる。

 企業は原材料などのコスト上昇分を商品や製品に上乗せすることに理解が得られるよう、消費者や取引先などに丁寧に説明する必要があるだろう。

 企業間取引において、中小企業にコスト増がしわ寄せされれば、賃上げの余裕がなくなりかねない。

 政府は、中小企業が原材料価格などの上昇を販売価格に適切に転嫁できるよう、下請法の運用強化を盛り込んだ対策パッケージを策定した。

 転嫁拒否が疑われる業種を選び、重点的に立ち入り調査を実施し、専門調査官を増やして年間1万社以上の中小企業を聴取するとしている。

 岸田文雄首相は、経済界に3%程度の賃上げを要請している。22年度の与党税制改正大綱では、給与を引き上げた企業への優遇策を設け、来年度予算案にも看護師や介護士などの賃金引き上げを盛り込んだ。

 消費拡大につながる所得環境への目配りがいっそう求められる。