与謝野町から通学する生徒たちが利用する丹海バスの福知山線(福知山市篠尾・京都共栄学園前)

与謝野町から通学する生徒たちが利用する丹海バスの福知山線(福知山市篠尾・京都共栄学園前)

 京都府北部で今秋、1本のバス路線が縮小された。宮津・与謝地域と福知山市を結ぶ丹後海陸交通(丹海バス)の福知山線で、利用の大半を占める通学生たちは10月から、一部でマイカーによる送迎や鉄道の利用を余儀なくされるなど、不便を強いられている。人口減少が進む地域で公共交通の維持は難しい課題だが、将来を担う子どもたちにそのしわ寄せが及んでいる現状は見過ごせない。

 同線は、主に与謝野町内から福知山市の中高校に通う生徒約20人が利用していたが、10月1日に実施された路線再編で、平日は5往復から3往復に減り、土日は運行がなくなった。これにより、下校時に利用できる便が2本から1本のみとなり、土曜の授業やクラブ活動では、バスより所要時間が30分以上かかる鉄道か、マイカーでなければ通学できなくなった。

 路線の再編前、記者も実際に朝のバスに乗り、生徒たちに話を聞いてみた。京都共栄学園高(福知山市)3年の女子生徒は「1時間以上かかる道のりを、バスだと乗り換えずに座って通えるが、鉄道だと混雑して大変」と複雑な表情を見せた。彼女にとって同高は小さい頃から入りたいと思っていた学校で、看護師をめざして勉強していると話すいちずなまなざしに、やるせない思いが募った。

 福知山中3年の男子生徒は「駅まで親の送迎がないと土日の部活動に行けなくなる」と心配そうだった。保護者からも「将来の担い手となる子どもたちのことを考えていない」「母子家庭や仕事など親がどうしても送迎できない都合がある」との声が上がる。

 路線再編の理由は、同線の低い採算性だ。これまでから路線維持のために公的補助金がつぎ込まれ、直近では2018年9月までの1年間で、国が642万円、府が507万円、沿線2市1町が1675万円をそれぞれ負担。全区間の平均乗車人数を表す輸送量は15・4人で、国や府の補助金交付の対象となる制度上の基準の「15人」を割り込む懸念が、目前に迫っていた。さらに運転手の人手不足も再編への圧力となった。

 同線の存続を巡る議論は、昨年10月に丹海バスが廃止の検討を始めた。与謝野町や福知山市では昨年末から今年にかけ、自治体や住民、事業者らが参加する地域公共交通会議で路線の見直しに向けた検討が行われ、最終的に5月に現行の再編案を決定。丹海バスはこれを受けて再編に踏み切った経緯がある。

 再編前、与謝野町内で開かれた通学生の保護者向け説明会で「バスの乗車率を上げる取り組みをすべきではないか」との切実な声が上がった。自治体財政がひっ迫する中で、不採算路線の維持には国や府の補助金が欠かせない。生徒たちの通学の足を守る代替案は他になかったか。10月という年度途中で不便を強いられる生徒たちがふびんでならない。