滋賀県内の歌碑や歴史を紹介した本「近江の小倉百人一首」を出版した猪飼由利子さん(大津市・県庁)

滋賀県内の歌碑や歴史を紹介した本「近江の小倉百人一首」を出版した猪飼由利子さん(大津市・県庁)

 滋賀県内に残る小倉百人一首の歌碑や歌人ゆかりの地を紹介する本「近江の小倉百人一首」を、元高校教諭の猪飼(いかい)由利子さん(68)=湖南市岡出=が出版した。大津から長浜まで50カ所を訪ね歩き、写真付きで歴史や由来を紹介した。「本を片手に現地を巡り、近江の文化を感じてほしい」と話している。

 猪飼さんは滋賀ゆかりの文学を研究しており、随筆家の故白洲正子が記した県内の舞台を題材にした著書もある。今回は小倉百人一首を身近に感じてもらおうと、多くの文献から歌人と滋賀の関連地を探し出し、2017年5月から約8カ月間かけてカメラマンと現地取材した。

 選んだ歌は29首で、歌の意味や出典、作者を解説した。天智天皇の「秋の田のかりほの庵のとまをあらみ~」の歌碑が近江神宮など大津市に2カ所あることや、東近江市の押立神社では文屋康秀、朝康親子が詠んだ二つの歌を刻んだ石碑が存在することを紹介した。

 米原市には小倉百人一首の選者とされる藤原定家の屋敷跡や墓碑があると伝わるが、訪ねてみると案内板がなく地元でも知る人ぞ知る場所だったという。紫式部は大津市の石山寺だけでなく、高島市の白鬚神社や野洲市の菖蒲浜などに歌碑や供養塔が設けられていることも記した。

 猪飼さんは「小倉百人一首の歌人の歌碑がこんなに滋賀にあるんだ、と新たな発見があると思う」と話した。

 A6判で296ページ。全国の主な書店で販売している。2160円。サンライズ出版。