あまりにお粗末だ。

 大阪地検が護送中、被告の男に逃げられた事件である。2日後に身柄を確保したが、逃げ回っている間、住民に不安が広がったことを深刻に受け止めるべきだ。

 先月にも別の事件で被告が逃走しており、大阪地検の失態が相次いだことになる。どこに問題があったのか検証し、再発防止策を急いでつくるべきだ。それを全国の検察も共有してもらいたい。

 逃げられたのは大阪府東大阪市での護送中だ。被告の男が「手錠がきつい」と訴えたため、左手の手錠を外したところ、暴れだしてワゴン車から飛び出したという。

 3人の検察事務官が乗っていたが、警察のように被告の両脇に座っていなかった。地検の内規に反していないといっても、結果的に逃走を許した事実は重い。

 護送は大事な任務の一つなのに、多くの事務官は逮捕術などを身につけていないという。粗暴犯の場合は警察の協力を得るが、今回は覚せい剤取締法違反の罪のため事務官だけになったようだ。

 先月も岸和田市で収容手続き中の被告が、事務官らの制止を振り切って車で逃げており、地検は再発防止を誓った直後だった。

 いずれも護送のあり方が問われる事態だ。

 大阪だけではない。今年6月、神奈川県で実刑が確定した男が、出頭を求める横浜地検の事務官らに刃物を振り回し、逃げている。

 この事件を受け、最高検は8月に報告書を公表し、背景に保釈の急増があると指摘している。収容業務が大きな負担になっていて、適正な人員確保と装備品の整備が必要不可欠とした。

 保釈の増加は、裁判員裁判の導入で被告と弁護人の間で十分な打ち合わせを確保すべきとの認識が裁判官に広がったためだ。さらに長期勾留による取り調べに、「人質司法」との批判が海外からも出ている。

 保釈増加の流れは必然であり、検察はきちんと対応できる態勢を整えるべきだ。

 失態以上に見過ごせないのは、大阪地検の逃走情報が自治体や地域に伝わるのが遅かったことだ。学校の登校に付き添った親から不信の声が聞かれた。最高検は報告書公表と同時に、自治体などと緊急連絡体制を構築するよう、全国の地検に通達を出していたが、生かされていない。

 大阪地検は逃走男の確保後、謝罪しつつも、経緯を説明しようとしない。住民に不安を与えた責任を、どう考えているのか。