<罵声を浴びせる、話をちゃかす、私語をやめない、何を言っても無視する…>。約20年前、深刻だった「学級崩壊」の実態を論じた本紙記事の一節だが、テレビ中継で見た国会の様子と重ならないか▼安倍晋三首相が先週、参院予算委員会で質問する野党議員を指さしながらやじを飛ばし、委員長注意を受けた。前々日の衆院予算委でも同じく不規則発言をたしなめられたばかりだ▼首相は渋々陳謝したものの、相次ぐ閣僚辞任で任命責任をただされたいら立ちが原因か。短期間に同じ行動を繰り返し、身内の自民党からも「謙虚で丁寧な姿勢でしっかりと答弁してほしい」と苦言が出るほどである▼これまでも度々、首相席からのやじにイエローカードを突き付けられてきた。本来、質疑に応じるために出席しているのに、これでは国会の審議を妨げているとしか言いようがない▼やじは「やじ馬」の略。語源は役に立たない老いた馬を意味する「おやじ馬」とする説が有力だ。転じて他人を大声でちゃかし、無責任に騒ぐ人を指すようになったという▼老馬扱いしては失礼だが、批判は許さぬとでも言いたげな姿勢では適性や品格が問われる。首相の通算在職日数は今月20日、桂太郎を抜き憲政史上最長となる。後世、「悪夢のような」と指さされぬように。