「新冷戦」とも称される米中対立が、国際社会に影を落としている。

 来月開幕する北京冬季五輪では、人権問題を理由に米国が「外交ボイコット」を表明し、中国が猛反発している。

 両国の覇権争いは、他国も巻き込んで激しさを増している。対話を続けることで、気候変動や軍縮など共通の課題に向き合ってもらいたい。

 発足から約1年となるバイデン政権は、中国を「最大の競争相手」としたトランプ前政権の強硬な対中姿勢を引き継いでいる。昨年11月には、中国企業への投資を禁じる措置を1年間延長し、中国製の通信機器を排除する法律も成立させた。

 中国包囲網の構築も進めている。日本とオーストラリア、インドとの4カ国で経済安全保障を強化する枠組み「クアッド」に続き、英国、オーストラリアとの3カ国で軍事的な連携を図る「オーカス」を結成した。

 バイデン政権は「米国第一」だった前政権と異なり、同盟国との関係を重視している。昨年は、「専制主義への対抗」を掲げた民主主義サミットを通じて結束を図った。中東からインド太平洋地域へ安全保障政策の軸足を移している。

 こうした行動は各国を分断し、台湾を巡って米中の緊張が増す中で、同地域の不安定化につながる恐れもある。

 一方、中国は、強権的な動きを加速させている。

 習近平指導部は軍備拡張を進めるかたわら、国内統治の引き締めを図る。昨年には香港の議会に民主派を事実上排除した新選挙制度を導入、親中派で議席をほぼ独占した。強大な経済力と軍事力を背景に、周辺国などへ挑発的な姿勢をとる。

 今秋に予定される共産党大会で、習氏は総書記(国家主席)の3期目続投を念頭に、最高指導者に絶大な権限を持たせる「党主席」を復活させるとの見方もある。異例の独裁体制で覇権的な行動を先鋭化させないか、注視する必要がある。

 韓国は3月に大統領選を迎える。元慰安婦や元徴用工の問題を巡って冷え込んだ日韓関係にどう向き合うか、新政権の政策に注目したい。

 事態の打開が求められるのは、8月の開催を目指す核拡散防止条約(NPT)の再検討会議だ。

 前回2015年の会議では、核保有国の消極姿勢から合意文書を採択できなかった。核軍縮の根幹をなすNPTの形骸化は何としても避けねばならない。

 核兵器を全面的に違法とする核兵器禁止条約の初の締約国会議が3月に開かれる。抑止力依存に批判が高まっていることを、保有国は重く受け止めるべきだ。

 地球規模の問題解決への取り組みも欠かせない。地球温暖化防止は、「重要な10年間」での具体的な行動と途上国への支援を着実に実行してほしい。

 新型コロナウイルスへの対応では、ワクチン接種率が10%未満にとどまるアフリカ諸国などへの援助が求められる。

 格差や分断の解消へ、国際協調をいっそう進めたい。