懸念されていた新型コロナウイルスの感染「第6波」が、現実になろうとしている。

 きのう、全国の新規感染者数は昨年9月26日以来となる2千人を超えた。感染力が強いとされる新変異株「オミクロン株」が広がっている。

 京都をはじめ全国各地で市中感染が相次いでおり、同株への置き換わりが進んでいる可能性がある。沖縄県は「まん延防止等重点措置」の適用を政府へ要請する方向だ。

 年末年始の帰省や旅行で人の移動が増えた。今後の感染拡大を抑えるため早急に対策を講じなければならない。

 岸田文雄首相は、オミクロン株の感染対策の重点を、水際対策から国内対策へ移すと方針転換を表明した。これまで陽性者全員を入院させ、全ての濃厚接触者を宿泊施設での待機としていたが、自治体の判断で重症度に応じて自宅療養などに変更するという。

 京都府も、原則入院としていた新規感染者への措置を、オミクロン株感染者を除く軽症・無症状者は宿泊療養施設への入所に改める。

 感染者が急増すれば、全員入院の措置は医療逼迫(ひっぱく)を招きかねない。見直しは妥当だろう。

 ただ、自宅療養者の増加は避けられない。

 「第5波」では、自宅療養者が全国で最大13万人を超え、症状が悪化しても入院できずに亡くなる人が相次いだ。

 政府は、全感染者に対し陽性判明当日か翌日に保健所や医療機関が連絡し、継続的に健康観察や診療が行えるよう、都道府県に自宅療養者への対応拡充を含めた医療提供体制計画の見直しを求めた。

 オンライン診療や往診、訪問看護に3万を超える医療機関や薬局などが協力し、保健所の人員も最大で平時の約3倍に増強する体制を構築したという。

 重要なのは、そうした対策が確実に機能するかだ。都道府県と連携し、感染急拡大に備えた体制を改めて確認してほしい。

 3回目のワクチン接種や、無料検査の拡充、飲み薬の確保を迅速に進めるなど、先手の対応が求められる。

 外国人の新規入国を禁止している現在の水際対策について、岸田首相は継続の是非を来週判断するとしている。

 政府は、先進7カ国で最も厳しい措置だとしてきたが、全ての在日米軍施設で昨年9月3日から米出国時のPCR検査を免除していたことが明らかになっている。沖縄県や山口県での感染者急増は、基地内のクラスター(感染者集団)が地域に波及したとの見方が強い。

 米軍の特権的な地位を定めた日米地位協定は、入国手続きに関して日本の法令が適用されないとしており、感染防止対策は米軍任せになっている。水際対策に穴があったと言わざるを得ない。

 日本国内での批判を受け、現在は出入国前後に検査が行われているが、自治体関係者からは「基地内は権限が及ばず疫学調査もできない」との声もある。

 感染防止は安全保障とは別問題として、政府は米軍に対し感染状況についての情報提供や検査への協力を求めるべきだ。