「憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓う」。天皇陛下はきのう、即位後初めてのお言葉を述べられた。

 国民に寄り添うと決意を語った陛下は「この身に負った重責を思うと粛然たる思いがします」とも述べた。新たな象徴像を探る思いを披露したのだろう。

 「令和」初日は、おおむね祝賀ムードが広がった。改元で私たちの暮らしが大きく変わるわけではないとしても、新時代を迎え、目の前の課題に新たな気持ちで取り組む人も多いのではないか。

 皇室の直面する課題も避けられない。皇位継承問題である。今回の代替わりで、さらに深刻さが浮き彫りになった。

 皇位継承資格者は4人から3人に減った。順位は、皇太子の立場になる皇嗣(こうし)秋篠宮さま(53)が1位、長男悠仁さま(12)が2位、上皇さまの弟常陸宮さま(83)が3位である。

 年齢を考えると「皇統の維持」という重い責任を、悠仁さま1人が背負わされている形だ。

 皇室の先細りを回避するには、皇位継承資格を女性・女系天皇に拡大することや、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設が考えられる。

 2006年の小泉純一郎政権、12年の野田佳彦政権はこうした対応策の検討を進めた。しかし、いずれも後継の安倍晋三政権によって議論が棚上げとなった。

 安倍氏は「男系継承が古来、例外なく維持されてきた」と男系へのこだわりを隠さない。支持基盤である一部保守層の反発を避ける狙いもあるのだろう。

 皇室制度の在り方を検討するのは、政府と国会の役割だ。議論が止まっているのは怠慢と言わざるを得ない。抜本的な解決策を図るため早急に前へ進めるべきだ。

 昨年12月の日本世論調査会の全国調査では、女性天皇について84%、女性宮家創設も76%が容認派だった。代替わりで国民の関心は高まっており、議論を深めるチャンスともいえよう。

 皇室の先細りは公務の担い手不足にもつながる。公務の分担や負担軽減など他にも課題は多い。

 陛下は即位前の2月の記者会見で「その時代時代で新しい風が吹く」と皇室の在り方が変わることに理解を示した。伝統に固執するだけでは、時代から遠ざかってしまわないか。