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山王神(十禅師)坐像

 仏像雛型(ひながた)とは仏像制作時の縮小模型。制作前に工法や必要な木材量を検討するために作られた。既存の優品を写したり、注文主に完成イメージを伝える見本としても使われた。

 9日から龍谷ミュージアム(京都市下京区)で始まっている特集展示「仏像ひな型の世界Ⅲ」は、江戸から平成まで15代続いた京都仏師畑治良右衛門(じろうえもん)家のコレクションを紹介する。今回が最終回となり、2014年に亡くなった15代を中心に畑家を紹介し、過去最大の100件以上の雛型を展示する。

山王神(牛御子)坐像

 見どころの一つは比叡山関係の雛型だ。織田信長の焼き打ち以後、歳月をかけて復興が行われ、雛型も多く残る。複数ある山王神は日吉大社(大津市)の神像の雛型で、芸能者が信仰した「百太夫」のような土着神の雛型もあり、山王信仰の豊かさを伝える。

百太夫立像
有徳院坐像

 徳川8代将軍吉宗(有徳院)坐像の雛型は、没後、その姿を残すために作られた。ただ、現在は完成品が確認されず、雛型だけが残る。締まった表情に大きな耳が吉宗の個性を表す。

 天桂伝尊は江戸期の曹洞宗僧。大阪府池田市の陽松庵に残る完成品と、雛型の銘文が一致した。雛型は4分の1サイズだが、気性の激しさをよく捉えている。

天桂伝尊胸像

 雛型企画を担当したリサーチアシスタントの丹村祥子さんは「雛型は仏像制作の舞台裏を完成品よりもよく伝える」と語る。コレクションの雛型を使った完成品は判明しただけでも山形県から長崎県に及ぶ。館では展覧会を通じてさらなる情報提供も求めている。

 シリーズ展11「仏教の思想と文化―インドから日本へ」も同時開催する。

恵比須神坐像
邪鬼
山王神(客人)坐像
菩薩坐像

 制作年代は全て江戸時代



【会期】1月9日(日)~2月13日(日)、2月19日(土)~3月21日(月・祝)、月曜休館(祝日は開館)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】龍谷大学龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)
【入館料】一般550(450)円、65歳以上450(350)円、大学生400(300)円、高校生300(200)円。かっこ内は20人以上の団体料金
【主催】龍谷大学龍谷ミュージアム、京都新聞