急激に広がる新変異株「オミクロン株」に応じた対策が必要だ。

 新型コロナウイルス感染の拡大を受け、政府は沖縄、広島、山口の3県への「まん延防止等重点措置」適用を決めた。

 期間は9~31日で、措置は昨年9月末に緊急事態宣言と併せて全面解除されて以来、約3カ月ぶりだ。

 きのうの全国の新規感染者数は6千人を超え、1週間で約12倍に激増した。オミクロン株の急拡大で新たな局面を迎えたといえる。

 その感染力は、政府や自治体が備えてきた感染「第6波」の想定を超える脅威だ。感染状況の特性を見極め、臨機応変に対応していかねばならない。

 今回の措置は、昨年11月に目安とする指標を新規感染者数より医療の逼迫(ひっぱく)状況を重視するよう見直して初めてとなる。

 3県の病床使用率は新指標で中位の50%以下で推移してきた。急激に医療体制への負荷が高まることを見越し、対策を強化したのは当然だろう。

 政府は、病床を空けるため、全員入院としていたオミクロン株感染者を軽症、無症状なら宿泊施設や自宅で療養可能とするように方針変更し、京都府、滋賀県なども従った。

 3県は、それぞれ飲食店の営業時間短縮や酒類提供の停止、イベント人数の制限などを求める。

 ただ、こうした対策はオミクロン株拡大前の想定に基づいており、有効性が揺らいでいる。

 政府は、厳しい制限による経済への打撃を繰り返さないため、ワクチンを2回接種済みか検査の陰性証明があれば制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ制度」導入を切り札としてきた。

 だが、オミクロン株は2回接種後の感染例も多く、ワクチンの予防効果という前提が崩れている。政府は飲食店、イベント利用者らの全員を検査することで制限緩和できるとしたが、強い感染力に即した「密」回避、換気対策などの抜本的見直しも要るだろう。

 一方、オミクロン株は重症化のリスクが低いとの見方があり、感染が急増する欧米でも行動規制を限定的とする国が少なくない。

 ただ、世界保健機関(WHO)は感染者が激増すれば死者数も増えると軽視を戒めている。沖縄などでは医療従事者の感染による地域医療への影響も出ている。

 感染者の重症化を防ぎ、自宅療養者を含めた医療体制を確保しながら、経済活動と両立させられるかが試される。