新型コロナウイルス感染者の急増を受け、岸田文雄首相は、ワクチン3回目接種のさらなる前倒しなど対策強化を打ち出した。

 感染力の強い新変異株「オミクロン株」の急拡大に対し、重症化リスクの高い高齢者への接種を加速し、若年層含め一般分も前倒しして流行「第6波」の歯止めを図る。

 まん延防止等重点措置を始めた沖縄、広島、山口3県はじめ、全国的拡大で医療や社会活動の維持に懸念が出ている。急進する感染状況に応じ、実効性ある方策を次々に打っていかねばならない。

 ワクチンの3回目接種は、政府が医療体制の強化などと並ぶ第6波対策の柱に据える。オミクロン株では、2回接種済みでも感染例が相次ぐ一方、3回目接種で入院リスク低減への有効性を示す研究結果が出ているためだ。

 政府は昨年12月、医療従事者や高齢者施設の入所者らの3回目を従来の接種間隔8カ月から6カ月に前倒しして始めた。一般高齢者も2月から本格化を見込むが、さらに1月への前倒しを含め計約3100万人の接種加速を促す。

 自衛隊運営の大規模接種センターを再び開設し、一般分の接種も繰り上げて3月から可能にする。

 自治体も日程前倒しに動くが、課題はワクチン確保だ。前倒し分は在庫とモデルナ製の追加供給を充てる。円滑な供給に加え、異なるワクチン「交互接種」に関する十分な情報提供が欠かせない。

 政府は、12歳未満の子どもへの接種にも踏み切る。希望者のみを対象に、薬事などの手続きを経て3月以降に始める。学校や家庭での感染拡大を防ぐ狙いだが、必要性や安全面で不安に思う保護者も多い。科学的根拠に基づく十分な理解と判断が前提となろう。

 治療の「切り札」に位置づける飲み薬では、昨年末に米メルクのモルヌピラビルを特例承認し、米ファイザー製も2月中の実用化を目指す。ただ、服用対象が18歳以上で重症化リスクがあり、発症から5日以内に飲み始めるとの条件が厳しい。検査で感染判明からすぐに届けられる体制整備が必要だ。

 沖縄では感染や濃厚接触者となって医療従事者が欠勤し、コロナ病床や救急の医療にも影響が出ている。感染拡大のリスクに応じ、入退院や隔離の基準見直しによる期間短縮を検討すべきだろう。

 自宅療養者への医療体制や水際対策の実効性を再点検するとともに、足元の感染急拡大を抑える上でテレワーク推進といった「密」回避、接触削減策も進めたい。