文部科学省は、今週末に行われる大学入学共通テストを新型コロナウイルスの影響で受けられなくなった受験生に対し、国公立大の2次試験など個別試験のみで合否判定を可能にするよう全国の大学に通知した。

 感染力が強いとされる新変異株「オミクロン株」が全国で急拡大しているのを受けた救済策だ。

 貴重な受験機会を保障できるよう柔軟な対応は必要だ。ただ、共通テストの本番1週間を切っての対応見直しの指示で、唐突感は拭えない。

 共通テストは、国公私立大と短大合わせて864校が、選抜のために利用する。15、16日に実施され、29、30日に追試験が予定されている。

 救済策は、いずれも受験できなかった場合、共通テストが必須の国公立大の入試に適用され、テストを利用する私立大にも同様の対応を求めている。

 2月以降に本格化する個別試験についても、追試を受けられない場合、面接や書類選考が中心の「総合型選抜」を新たに設けるよう要請している。その場合、手続きが遅れても入学を認めるようにするという。

 突然のルール変更に、大学側には困惑が広がっている。多くの大学は共通テストの受験を前提にしているため、急な合否基準の見直しや新たな選抜方法の導入は難しい。

 共通テストを受けた受験生との公平性をどう確保するかなどの検討も必要になる。

 文科省は昨年末、オミクロン株の濃厚接触者について一律に受験を認めないとする方針を公表したが、受験生らに不安が広がり、岸田文雄首相の指示だとして3日後に撤回した。

 中高の入試を含めいずれの試験でも、PCR検査での陰性や受験当日に無症状などの条件を満たせば濃厚接触者も試験会場で別室受験ができるとした。

 だが、会場への移動に公共交通機関を使わないとの条件に対しては、地方の受験生の間で不公平との声が広がっている。

 今回の手厚い救済策は、「失策」からの挽回を狙った形だが、対応は現場に丸投げされている。

 コロナ禍で行われた昨年の経験も踏まえ、感染が再拡大した際の対応と準備を行っていなかったのは、怠慢と言わざるを得ない。

 受験生に不安を与えないよう、大学側は入試の方針や実施方法について十分周知してほしい。