日本の農林水産物・食品の輸出額が昨年、初めて1兆円を突破したようだ。

 農林水産省によると、真珠や木材などを含めた1~10月の累計額は9734億円に達していた。財務省の貿易統計(速報)で、11月の「食料品」輸出額が899億円だったので、合計すると大台に乗ったというわけである。

 政府は長年、年間1兆円を目標にしてきた。これが達成できたのは、喜ばしいことであろう。

 とはいえ、農林水産物の貿易収支は2020年、約8兆円の輸入超過だった。

 輸出額を25年には2兆円、30年には5兆円へと拡大する計画も掲げている。

 生産者らへの支援を強化し、さらに増額を図るべきだ。

 海外での和食ブームを受けて、日本産食品の人気が以前より高まっている。

 また、新型コロナウイルス禍に伴う世界的な「巣ごもり需要」が生じ、インターネット販売が好調だった。これらが、1兆円超えへの追い風になったとされる。

 1~10月の累計額を品目別にみると、前年と比べて日本酒が約8割、牛肉が約9割も増加し、ホタテガイは約2倍になった。

 中国、米国の外食需要が、けん引したとみられている。

 今後も、こうした海外での「売れ筋」を、しっかりと把握しておくことが大事である。

 日中韓などが加盟する包括的経済連携(RCEP)協定が1日に発効した。当該地域での消費動向にも十分、目配りしたい。

 政府は、近く召集される通常国会に、農林水産物・食品輸出促進法の改正案を提出し、輸出品の生産から販売まで結束して推進する事業者組織「品目団体」を、法的に設立できるようにする。

 これによって、リンゴやブリなどの重点品目について、日本産の統一ブランドを確立したいと考えている。

 加えて、コールドチェーン(低温物流)や、効率的な発送の体制整備にも取り組んでほしい。

 東京電力福島第1原発の事故に伴い、中国、韓国、香港など14の国・地域が、日本産食品への輸入規制を続けている。撤廃に向けて理解を得るのは大きな課題だ。

 輸出拡大の一方で、カロリーベースの食料自給率は、20年度に過去最低水準の37%に落ち込んだ。政府は、食料を安定供給するために、30年度に45%まで引き上げる目標も忘れないでもらいたい。