撮影現場での井上昭監督

撮影現場での井上昭監督

 京都・太秦の撮影所近くに生まれ育ち、市川雷蔵や勝新太郎の主演作など、多くの映画やテレビ時代劇を、太秦を拠点に晩年まで撮り続けた映画監督の井上昭(いのうえ・あきら)さんが9日午前3時12分、脳梗塞と肺炎のため京都市内の病院で死去した。93歳。京都市出身・在住。葬儀・告別式は近親者で行った。


 同志社大を卒業後、1950年に太秦にあった大映京都撮影所に入社。溝口健二監督「山椒大夫」「近松物語」や森一生監督「薄桜記」などに助監督として付いた。60年に「幽霊小判」で監督デビューした。


 勝新太郎主演「座頭市二段斬り」(65年)、市川雷蔵主演「眠狂四郎多情剣」(66年)や「陸軍中野学校 密命」(67年)など、大映京都の人気シリーズをはじめ20本を超える映画で監督を務めた。田宮二郎主演のハードボイルド「勝負は夜つけろ」(64年)では斬新な個性をみせるなど、「大映のゴダール」の異名を取った。


 70年にフリーとなり、田村正和主演「眠狂四郎」や藤田まこと主演「剣客商売」などの時代劇や、「キイハンター」などの現代劇まで幅広いテレビドラマを手掛けた。


 晩年まで現役で監督を続け、昨年夏に京滋で撮影し、遺作となった中村梅雀さん主演の時代劇「殺すな」が今月28日から劇場公開予定。昨年12月に京都新聞の取材に応えた井上監督は「人間の愛をテーマに何十年も撮ってきた。いい素材があれば、愛がテーマの作品をまた撮りたい」と語っていた。