急拡大する感染を食い止めつつ、社会を動かしていく「かじ取り」が問われている。

 政府は、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」感染者の濃厚接触者が待機する期間について、現在の14日間から原則10日間に短縮する新方針を打ち出した。

 警察や介護など社会機能の維持に必要な「エッセンシャルワーカー」に限っては、待機6日目の検査で陰性なら解除できるとした。

 オミクロン株は、発症までの潜伏期間が3日程度と、従来株の5・1日などより短いとする知見に基づく専門家組織の意見を踏まえて判断した。

 感染力の強さから急拡大が続き、医療逼迫(ひっぱく)などの恐れが強まっていることへの現実的な対応といえよう。

 オミクロン株の特徴に応じて感染拡大のリスクを科学的に見極め、医療や社会の機能維持のためにどの程度まで許容し、他の方策で補っていくか。社会全体での対応も求められる。

 きのうの全国の新規感染者数は約4カ月半ぶりに2万人を超えて急増が続く。オミクロン株疑いの検出率が8割を超え、置き換わりが急速に進んでいる背景がある。

 待機期間を見直すのは、医療や社会経済活動を担う人材を確保できなくなる懸念からだ。

 沖縄県では、感染者を受け入れる21の重点医療機関で14日に医師や看護師ら681人が感染や濃厚接触者と認定されて欠勤し、救急診療などに支障が出ている。

 政府は、特例で医療従事者は濃厚接触者でも毎日検査して陰性を確認するなど条件付きで勤務の継続を認めた。他の介護、保育現場などでも人手不足への不安が広がり、全国知事会や経済界から期間短縮の要望が相次いでいた。

 ただ、岸田文雄首相は「特性に応じ」「柔軟に対応」と含みを持たせつつも、期間短縮に慎重姿勢を続けた。専門家の「お墨付き」を待ち、政治主導で「基準を緩めた」と責任を問われたくないとの思惑も透ける。

 入退院基準の見直しも結論がずれ込み、スピード感を欠くとの批判も免れまい。

 重要なのは、科学的知見に基づき、社会活動を機能させていくための対策緩和がどれだけリスクを伴うかの認識を広く共有し、カバーする取り組みを進めることだ。

 鉄道、通信はじめ生活インフラ関連の事業所などでも、従業員の欠勤に備えたテレワークや応援態勢など事業継続計画(BCP)の点検や実践が求められよう。