「塞王の楯」で第166回直木賞にノミネートされた今村翔吾さん(京都市中京区・京都新聞社)

「塞王の楯」で第166回直木賞にノミネートされた今村翔吾さん(京都市中京区・京都新聞社)

今村さんの「塞王の楯」

今村さんの「塞王の楯」

 第166回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日に東京都内であり、同日夜に受賞作が発表される。京滋関係では直木賞に、大津市在住の作家今村翔吾さんの「塞王(さいおう)の楯(たて)」(集英社)がノミネートされている。

 今村さんは京都府加茂町(現木津川市)出身。2017年春に、江戸時代の火消しを描いた「火喰鳥(ひくいどり) 羽州ぼろ鳶(とび)組」でデビューした。直木賞の候補入りは「童の神」(2018年下半期)、「じんかん」(20年上半期)に続き、3回目になる。

 今回の候補作「塞王の楯」は、石垣づくりをなりわいとする「穴太(あのう)衆」と、全国有数の鉄砲づくり集団である「国友衆」が、「関ヶ原の戦い」の前夜に大津城で繰り広げた戦闘を迫力たっぷりに描いた長編歴史小説。「民を守るために石垣を積む」「戦を終わらせるために絶大な力を持つ鉄砲をつくる」。物語が進むにつれ、二つの集団はともに戦乱のない世界を夢見ていたことが浮かび上がる。

 史実をベースに「正義とは何か」「人間とは何か」に迫るのが今村作品の真骨頂。「一つだと何の変哲もない石も、寄せ合い、噛み合って強固な石垣になる。人もまた同じではないか。大名から民まで心一つになった大津城。それこそが、--塞王の楯」。最強の楯と矛の戦いの行方は果たして…。