桂つばき自治会ではLINEを回覧板として活用している。行事のお知らせなどをスマートフォンやパソコンで見ることができる(京都市西京区)

桂つばき自治会ではLINEを回覧板として活用している。行事のお知らせなどをスマートフォンやパソコンで見ることができる(京都市西京区)

 役員のなり手不足が問題化している京都市の自治会で、インターネットなどの情報ツールを使い、行事や会議の省力化を図るところが出始めた。回覧板の代わりに無料通信アプリ「LINE」を活用する例もあり、新型コロナウイルスの流行がそうした動きを後押しする。ただ高齢者に配慮して断念する自治会もあり、課題は少なくないようだ。

 西京区の桂坂ニュータウンにある並川恭明さん(56)=桂坂つばき自治会会長=宅。パソコンに表示されているLINEグループには、募金のお知らせや市道整備に関する意見募集の告知が映し出されていた。回覧板の代わりとして昨年11月から始め、「会員が好きな時間に見られ、過去の資料も確認しやすくなった」と話す。

 約230世帯が加入する同自治会では、並川さんの提案で2020年から順次、情報ツールを導入。行事への出欠確認はネットで集計し、月1回の集会はビデオ通話で参加できるようにした。事前に資料をLINEで送付して当日の説明を簡略化し、最長2時間かかっていた集会は30分未満で終わるようになった。

 「これまでにただ資料の説明をするだけのために集まることもあり、無駄と思う時間も多かった。楽になった面は多々あった」と並川さんはメリットを語る。

 市地域自治推進室によると、自治会からの情報ツールに関する問い合わせは増えている。以前から負担軽減の一策として注目されていたが、新型コロナの流行で集会などの活動を制限されたことが拍車をかけた。

 一方で、導入にはハードルもある。「スマートフォンを持っていても電話とメール機能しか使っていない高齢者もいる。アプリなどが使えず、断念する自治会もある」(同室)。総務省の2021年度調査によると、50代の9割はスマホを使っているが、60歳以上になると8割に下がる。自治会活動に高齢者の参加は欠かせず、持っていない人が2割近くいるのもネックだ。

 普及を後押ししようと、市は昨年8月から無料の出張講座を始めた。スマホの画面上で指を一定の方向に動かす「スワイプ」など基本的な操作から、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」やグーグルマップの使い方を解説する。同室の担当者は「自治会運営に必要な部分を組み合わせて、負担を減らすきっかけにしてほしい」と期待する。

 桂坂つばき自治会では、住民の1割ほどいるというスマホを使い慣れない人のために、回覧板制度を今も残している。並川さんは「新しい技術も導入しながら、持続可能な自治会運営を考えていきたい」と語る。