京都市が、徒歩や公共交通による移動を促す「歩くまち・京都」総合交通戦略を2010年の策定以来、初めて改定した。

 車に依存せず、徒歩と公共交通中心の社会を目指す姿勢をさらに強く打ち出した。交通に関するデータを活用したサービス向上や、歩いて楽しい魅力的な歩行空間をつくり出すという。

 渋滞緩和や利便性向上など具体的な改善策を示し、実効性のある施策につなげてほしい。

 改定により、市内移動で車利用以外の割合を示す「非自動車分担率」の目標値を、改定前の80%超から「85%以上」に引き上げた。19年は10年比2ポイント増の77・7%で、同規模の大都市では上位に入ったが、改定前の目標に届いていなかった。

 新型コロナウイルス禍で、「密」を避けるため車利用が増えたとのデータもある。だが、地球温暖化対策の観点からも、車利用の抑制と公共交通の改善は着実に進める必要がある。

 新戦略では、福祉輸送やスクールバスなどを総動員した移動手段の確保のほか、駅やバス停から自宅など目的地までの「ラストワンマイル」で新型電動車などとの連携を示した。

 市民の「休日外出率」や公共交通の快適性なども調査する。

 移動に関する市民ニーズを的確につかみ、きめ細かな交通網づくりに反映させるべきだ。

 40年に目指すまちのイメージとして、LRT(次世代型路面電車)や連節バスなどを組み合わせた公共交通ネットワークの充実も描いている。

 そのLRTは、市民や経済界から実現を求める声が出ているが、採算性や路線など課題が多く、具体化していない。

 海外では、専用道路を自動運転させるなど先端技術を活用した低コストの次世代交通システムの実証実験が進んでいる。

 そうした動向にも目を向け、京都の交通事情を踏まえた公共交通の在り方を探っていかねばならない。

 切り札となりそうなのが、ITを使って多様な交通機関の経路や時間、料金の検索や予約、決済を一括で行えるサービス「MaaS(マース)」だ。

 乗り換えの手間を省くことができ、市街地に入る前に車から電車などに乗り換える「パークアンドライド」の後押しにもつながる。研究を進めてほしい。

 市の過去の交通政策では、中心部に御池地下駐車場を設けて車を呼び込んだ一方、四条通の歩道拡幅で車の流入を制限するなどのちぐはぐさも指摘されている。パークアンドライドを呼びかけているが、その利用実態は把握していないという。

 車の抑制を政策の軸に掲げ続けるなら、これまでの施策の効果について丁寧に検証することも必要ではないか。

 人口減少や少子高齢化の加速で、交通機関は長期的に利用者の減少が避けられない。市の財政危機や、バス・地下鉄の経営悪化にも拍車がかかっている。

 「歩くまち」戦略との連携で利用者を増加させる取り組みが欠かせない。持続可能な公共交通へ、知恵を絞ってほしい。