自分の性別を男女のいずれかでないと感じる当事者による対談イベント「“F”からどこかへ-曖昧な性を生きるあなたへ」が、オンラインで開かれた。性別に対する違和感への対応や自身の性をどう捉えているかなどについて率直に語り合った。

■「曖昧な性」を生きる当事者2人、互いの人生を振り返る

 開催したのは、いずれも当事者の吉野靫(ゆぎ)さん(立命館大生存学研究所客員研究員)とペス山ポピーさん(漫画家)。2人とも出生時の性別は女性で、イベントも主に同様の当事者向けに実施した。

 吉野さんは2020年、出生時の性別とは異なる性で生きる「トランスジェンダー」をめぐる医療や社会の問題を示した著書「誰かの理想を生きられはしない とり残された者のためのトランスジェンダー史」(青土社)を出版し、それを読んだペス山さんが吉野さんと語ることでほかの当事者の生きるヒントにつながればと企画した。ペス山さんは代表作に、自分の性と向き合う過程を描いた漫画「女(じぶん)の体をゆるすまで」(小学館)がある。

 イベントの冒頭、ペス山さんは「性別違和を受け入れて、これからどうやって生きるかというスタートラインに立った状況」と説明。吉野さんは20年前に女性として生きることは無理だと自覚し、15年前に胸の切除手術を受けた経験があり、イベントは互いの人生や考え方の変化を振り返る形で進められた。

■「男女どちらでもない」という人たちにも、いろいろな違いがある

(吉野)ペス山さんからどういう性別を選んで生きていけばよいか迷っているという話があった。私は随分前に折り合いを付けてしまったが、ペス山さんから「自分と同じような人がたくさんいるのでは」と言われ、今回の企画をすることになった。

(ペス山)漫画家です。自分の性については、ノンバイナリーで男女どちらでもないけれど男性性がより強いと感じている。性別違和を受け入れて、これからどう生きていくかのスタートラインに立った状況。

(吉野)トランスジェンダーでノンバイナリーです。胸の切除手術後に医療事故が起きて、2007~2010年まで裁判をした。ノンバイナリーの中にもいろいろいて、私とペス山さんでも違うということを伝えたい。

 ※トランスジェンダーには、男女どちらかの性で生活する人もいれば、どちらにもなじめない人もいる。後者をノンバイナリーと呼ぶことがある。当事者の中には性同一性障害(2022年1月から「性別不合」に変更)の診断を得て、ホルモン療法や性別適合手術を行う人もいる。

■テストの性別欄、男女の間に〇 「女性として生きるのは無理」

(ペス山)これまでの人生を振り返ります。幼少期学童期を通して