霊獣想像 江戸の絵師

 
 

 トラはいにしえから霊獣とされ、権力や王者の象徴として多くの画家が描いてきた。今年の干支(えと)トラを主役にした展覧会「トラ時々ネコ 干支セトラ」が1月29日から、京都市右京区の福田美術館で始まった。

 福田コレクションから厳選し、前後期合わせて75点を展示。与謝蕪村や円山応挙ら江戸中期の画家や、竹内栖鳳、大橋翠石ら明治から昭和にかけて活躍した画家の作品がそろう。

 トラが日本の動物園で飼育され始めたのは明治時代になってからだ。応挙ら江戸期の画家は誰も見たことがないトラを、どのようにして描いたのだろうか。

 もちろん中国から輸入された毛皮や絵画を参考にしたが、関節の動きや生態までは分からない。そこで身近なネコを観察し、頭の中で思いをめぐらした。描かれたトラは、関節がなく、まっすぐな足だったり、頭のすぐ後ろで肩が盛り上がったり。瞳孔が縦に長いスリット状などネコのようなトラも現れた。「実物がいないことで、いろいろな想像力を働かせた」と岡田秀之学芸課長は解説する。

 明治以降は、動物園で写生できたことから、写実的なトラへと変化する。迫力ある描写は毛並みの質感さえ感じ取れそうだ。

 2022年が「ニャーニャーニャー」とも読めることからネコの絵も「時々」展示する。

長沢芦雪「猫と仔犬」(通期)
菊池契月「松明牛」(前期)

作品はすべて福田美術館蔵



【会期】前期1月29日(土)~3月7日(月)、後期3月9日(水)~4月10日(日)。火曜休館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)
【入館料】一般・大学生1300(1200)円、高校生700(600)円、小中生400(300)円。かっこ内は20人以上の団体料金。嵯峨嵐山文華館との2館共通券は一般・大学生2000円、高校生1000円、小中生550円
【主催】福田美術館、京都新聞