俳句とピアノのコラボに向けて意欲を語る黛まどかさん(京都市南区)

俳句とピアノのコラボに向けて意欲を語る黛まどかさん(京都市南区)

 俳人の黛まどかさんがピアニストと共演する「余白の旅へ 俳句とピアノが出会うスペシャルコンサート」が、5月16日に京都市内で開かれる。俳句の朗読と西洋音楽とのコラボレーション。言葉と言葉、音と音の間にある「余白」に凝縮された深い感情や本質的な美、魂の叫びを、「俳句とピアノの足し算でなく掛け算で」紡ぎ出す試みだ。

 黛さんは俳句における余白の重みを子どもたちに説明する時、にぎりずしに例える。「ふんわり握った米の間の空気は、ただの空間じゃなく味わいをつくる。俳句を作るときも言葉をというより、余白を紡ぐ感覚がある」という。余白を重んじる考え方に、フランスを拠点に活躍するピアニストのシャニ・ディリュカさんが共感した。

 ふたりは2010年、黛さんが文化庁の「文化交流使」で滞在したフランスで知り合った。ディリュカさんはソリストとしてパリ室内管弦楽団などの世界的なオーケストラと共演する一方、詩作でも高い評価を受けている。

 コンサートでは、黛さんは江戸時代を代表する俳人与謝蕪村を取り上げた京都新聞連載「蕪村を読み解く」(昨年4~9月)で紹介した句や、自作の句などを朗読。ディリュカさんはドビュッシーの「月の光」やグリーグ、現代音楽を演奏する。ディリュカさんの選曲に対して、黛さんは雨の音やまちの風景を思い浮かべ、句を選んだ。楽曲の詳しい説明は受けず、先入観なく想像を膨らませ合った。

 17音節しかない俳句の朗読と、ピアノ演奏がどのように共鳴するのか。具体的な仕掛けは「ぜひ当日を楽しみにしてほしい」と伏せるが、「現代詩とは違い、俳句は短く、朗読は数秒で終わってしまう。公演の約90分間を単調にせず、『次は何が出てくるんだろう』と最後までわくわくしてもらえるような構成を考えることが、難しいけれども楽しい」と語る。

 黛さんが長年続けてきた東日本大震災の被災地、福島県への応援も兼ねる。京都での収益金は子どもたちへの支援を目的とした同県飯舘村の「いいたてっ子未来基金」に寄付し、同じコンサートを同村で入場無料で開く。ディリュカさんも趣旨に賛同しており、公演で福島に関連した企画も盛り込む予定だ。

 京都では5月16日午後7時から左京区の市国際交流会館イベントホールで。入場料3千円。チケット申し込みは主催の「俳句とピアノが出会うスペシャルコンサート実行委員会」075(212)5221(平日のみ)へ。