大規模太陽光発電(メガソーラー)パネルの設置を巡って、事業者と近隣住民のトラブルが相次いでいる。

 設置には広い平地が必要だが、適地不足のため、山林を切り開くケースが多い。斜面に多数の発電パネルが並ぶことになり、景観への影響や土砂災害が懸念されている。

 京滋でも木津川市や大津市で開発計画があり、地元との摩擦を生んでいる。課題解決へ事業者が取り組むのはもちろん、国や地方自治体も積極的に関わってもらいたい。

 2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まって以降、風力や地熱利用に比べて着手しやすい太陽光発電が全国で急拡大した。平らな適地の多くはすでに利用されており、山林のほか、ため池や耕作地の上にもパネル設置が進んでいる。

 18年の西日本豪雨では兵庫県姫路市で、斜面に設置されたパネル1300枚が地面ごとずり落ちる事故があった。19年の台風15号では千葉県市原市で、ため池の水上型パネル5万枚の大半が風に流され破損、一部が発火して火災になった。

 これほど大規模でないながらも、SNS(会員制交流サイト)などには事故の発生例の書き込みが散見される。一方、設置数の多い小出力施設(50キロワット未満)も含めた事故の実態把握に国が乗り出したのは、昨年4月からだ。

 気象が要因となる事故は、いつ、どこで起きてもおかしくない。再生エネの拡大へ、斜面、水上、農地などの活用を国が後押しするのなら、それぞれに対応した安全基準やルールづくりを急がなければならない。

 50年までの脱炭素社会実現に向け、国は発電量に占める再生エネの割合を、30年度に19年度(18%)の2倍にする目標を掲げる。その柱である太陽光発電には、長期に安定した稼働が求められる。

 だが現実には、売電権の転売が目的で「事業を継続する能力や意思が乏しい事業者」が参入していると、各地の住民団体でつくる全国再エネ問題連絡会は指摘する。

 行政の指導に素直に応じないなどのケースもあるといい、住民の不信を招いているようだ。

 これまで、地域の資源を使って発電し利益を得るのは、主に地域外の企業や投資家だった。京滋の計画地の住民からも「迷惑をかけられるだけで、地元にメリットがない」という声を聞く。

 地域でつくった電力を地元に供給する、売電益を地域に還元する―。そんな「域内循環」型の再生エネこそ拡大したい。景観や自然に十分配慮したり、収益を地域課題の解決に役立てたりする事業者がきちんと評価、優遇される仕組みが必要だ。環境負荷や災害リスクを高める事業者には相応のコスト負担を求めるのも一策だろう。

 4月施行の改正地球温暖化対策推進法は、再生エネの拡大による地域活性化を掲げる。掛け声倒れにしてはならない。