「まみぃ」の園児が通る散歩ルート。道幅が狭く、保育士は細心の注意を払う(大津市坂本1丁目)=写真は一部加工しています

「まみぃ」の園児が通る散歩ルート。道幅が狭く、保育士は細心の注意を払う(大津市坂本1丁目)=写真は一部加工しています

 大津市の県道での園児死傷事故を受けて9日、市と滋賀県はそれぞれ、子どもの歩行ルートの安全確保を関係機関に改めて要請した。待機児童の解消を目的に市街地に保育施設が増える一方、道路へのガードレール設置などのハード対策には限界もあり、現場はジレンマを抱えている。

 同市坂本1丁目の保育園「まみぃ」(定員19人、0~2歳)は、民家を利用した少人数の保育を行っている。敷地内には園庭がなく、園児たちは徒歩2分の距離にある公園にほぼ毎日通う。虫や草花と触れ合うため、数百メートル先の駅や田畑まで歩くこともある。

 道中には車が離合できない狭い道や、ふたのない水路も。同園では、車が近づくと保育士が園児に「ぺったんこ」と呼び掛け、全員で道路の端に寄る合図にしている。歩くルートや付き添いの保育士の人数、列の中での配置なども事前に入念に確認するという。

 加藤ひとみ施設長(59)は「道路上では、こちらがどれだけルールを守っても事故に遭う可能性がある」。とはいえ、散歩などの園外活動は子どもの成長に欠かせず、安全対策は多くの園に共通する悩みだ。

 保育施設に入りたくても空きがない「待機児童」の解消を急ぐ国の方針もあって、空き家やビルの一角を活用した0~2歳児対象の小規模施設が各地で増えている。保育ニーズの高い都市部で開所が相次ぐが、土地事情から園庭を確保できない施設も少なくなく、近くの公園や広場で代替している。

 大津市ではこの5年間で、こうした小規模な「地域型保育」施設の数が19から36へと増えた。市は園外活動の安全確保のため、2007年以降「保育園危機管理マニュアル」を各園に配布。大阪教育大付属池田小事件(01年)などを受けて市内の保育園長らが作成したもので、あらかじめ散歩コースや保育士の役割分担を決める事前計画書の作成などを推奨している。

 市は今回の事故から一夜明けた9日、同マニュアルの抜粋を市内180園に改めて通知。内容の見直しも今後検討するという。滋賀県も認可外施設を含む保育所や幼稚園に、事故防止策の徹底を求める通知を出した。

 一方、地域住民の中にはガードレール設置などのハード面の対策を求める声がある。12年に亀岡市で登校中の小学生や妊婦が犠牲になった事故以降、県内でも防護柵の設置や通学路を示すカラー舗装などが進められてきたが、今回の現場は通学路ではなかった。

 県道路課は安全対策の必要性は認めつつ、ガードレールの設置でかえって小さい子どもが車道から見えにくくなる恐れもあるとする。「今回の事故原因を分析した上で、必要な対策を整理したい」とする。