中央省庁や有力企業の本社が立ち並ぶ東京23区は、まさに日本の中心地である。

 その人口が2021年、初めて流出していることを示す「転出超過」となった。

 新型コロナウイルスのまん延に伴い、「過密」を避けようとの機運が高まったともみられる。

 東京への一極集中を是正する動きならば、歓迎したい。

 転出超過は、総務省が市区町村の住民基本台帳を基に、毎年まとめている「人口移動報告」によって明らかになった。

 転出者から転入者を差し引いた人数は、約1万5千である。

 東京都全体では、依然として流入の方が多い「転入超過」が続いている。とはいえ、それも5千人余りに縮小した。

 前年は3万人を上回り、コロナ禍前の14~19年は、毎年7万~8万人の転入超過で推移していたことを考えると、一極集中が鈍化傾向にあるといえよう。

 ただ、都から転出した約41万5千人の移住先は、埼玉、千葉、神奈川の近隣3県が56%を占めていることに留意したい。

 場所を問わずに働けるテレワークが普及しても、週に数回は出社する必要のある人も多く、アクセスのよいところに人気が集まっている、と分析されている。

 これでは、せっかくの移住が、首都近郊にとどまってしまう。いわゆる「地方創生」には、つながっていかない。

 報告において集計対象となった全国の市町村1719(東京23区は1市とみなす)を見渡すと、約7割に当たる1190が転出超過である。

 都道府県別では、山形、長崎、新潟で、転出超過の市町村が9割を超えた。

 国は4月から、過疎法で財政支援する地域に、京滋を含む27道府県の65市町村を追加する。

 これにより、全国の過疎市町村は885に増え、初めて全体の5割以上になった。

 こうした地域の活性化こそ、急務であろう。

 岸田文雄首相の唱える「デジタル田園都市構想」は、最新のデジタル技術を導入して、地方における生活の利便性を高め、都市との格差をなくしていく、とする。

 しかし、通信インフラをいくら整備しても、人口減が続くようでは、本末転倒ではないか。

 地方で生活が営めるよう、働く場を確保して、東京一極集中の是正を一層、加速するべきだ。