新型コロナウイルスのオミクロン株感染の急拡大を受け、医療機関を受診して検査しなくても感染したと判断する「みなし陽性」の取り組みが、京都をはじめ全国に広がっている。

 外来診療や保健所の逼迫(ひっぱく)を軽減し、高齢者ら重症化リスクが高い人への医療を確保する目的という。

 一方で、自宅療養者が急増を続け、自治体による健康観察などのフォローアップが追い付いていないのが現状だ。

 療養中の体調変化を見逃さず、必要な医療や生活支援を安心して受けられるきめ細かな態勢を整えることが急務だ。

 みなし陽性は、政府が先月に「検査、受診が原則」から方針転換し、自治体の選択を認めた。

 このうち、感染者の同居家族ら濃厚接触者に症状が出た場合、医師の判断で検査なしでも感染者と見なす仕組みは、京都や大阪、東京など17都府県で導入済みだ。

 発熱外来に人が殺到し、大勢が検査待ちで滞留する懸念があり、現場の負担軽減とともに、迅速に療養につなげる狙いという。

 加えて神奈川県は、医療機関を受診せず、市販の検査キットで陽性となった人もみなし陽性とする仕組みも導入した。6~49歳で重症化リスクの低い人が対象で、自身で検査し、行政側に連絡して自宅療養を始める形だ。

 外来診療のパンクを防ぐ「苦肉の策」とはいえ、必要な検査や治療を受けられないまま状態の悪化を招く懸念が拭えない。

 全国の自宅療養者は2日時点で43万人を突破した。昨夏の「第5波」ピークの3倍超で、前週から17万人も急増した。

 東京都では、自宅療養する50歳未満の軽症・無症状者に24時間対応する「自宅療養サポートセンター」で開設から丸一日の電話相談が1万9千件に上り、対応できたのは3割程度だったという。

 みなし陽性では、療養者自身で症状を判断し、対処できるか不安が大きい。症状が悪化し、投薬治療をするには検査と確定診断が要るため、発症から数日内とされる投与時期を逃す恐れもある。

 行政と医療機関などが連携し、迅速で丁寧な健康観察と相談・支援に総力を挙げねばならない。

 最後の安全網である救急搬送も、患者の急増から搬送先がすぐ決まらない困難事案数が3週連続で過去最多を更新している。体調の急変時、頼る先のない「医療難民」を生まないよう、政府、自治体の覚悟が求められる。