改憲の是非を問う国民投票のCMは公平なものにできるのか。

 日本民間放送連盟が衆院憲法審査会で、テレビCM量の規制強化に反対の立場を改めて表明した。

 「表現の自由」に抵触するとして自主規制できないことを明確にし、規制を求める立憲民主党など野党との溝は埋まらなかった。

 改憲の国民投票では、賛否を呼びかける運動は原則自由だ。テレビCMも投票日の14日前までは規制されない。だが、資金力のある団体が大量にCMを流せば、世論を誘導する恐れも指摘される。

 CMのあり方は国民投票法成立時の2007年からの課題である。多角的で深い議論が必要だ。

 民放連が3月に公表した国民投票に関するCMのガイドラインでは、中傷の禁止や独占的利用を認めないことなどを示している。

 ただ、資金力のある団体がゴールデンタイムにCMを集中させる懸念は排除できない。15年の大阪都構想を巡る住民投票では、賛成、反対両派のテレビCM量には4倍もの差が出たという。

 広告にも表現の自由があることは前提だが、改憲案への賛否に関するCM量に大きな差があると投票結果に影響が生じる可能性があることは認識しておくべきだ。

 国民投票法が投票運動を原則自由にしているのは、国民が改憲へのしっかりとした判断を下すため多くの情報に接することが必要との発想に基づく。

 放送は公共性の高いメディアである。CM量規制が難しいというなら、公平性を担保できる別の方策を研究していかねばならない。

 昨年8月に発足した超党派の国会議員連盟は、賛否双方のCMについて「同一時間帯に同一時間」とするよう放送局に自主ルール策定を働きかけている。

 自主ルールというなら、放送局だけでなくCMを出す側に求めていくことも考えられるのではないか。運動団体の資金力によって国民が得られる情報量に偏りが生じるようでは公平とはいえない。

 ただ、CMはテレビだけに限らない。インターネットや会員制交流サイト(SNS)にあふれるCMや情報をどう扱うかは難しい問題だ。メディアを通じた広告費は今年、インターネットが地上波テレビを上回る見通しだという。

 影響力はテレビを上回りそうなだけに、放ってもおけまい。

 CM規制を巡る議論に新たな要素が加わったといえる。公平なルールづくりをどう進めるか、検討を深めなければならない。