子どもたちが動物に直接触ることができる京都市動物園(左京区)の「おとぎの国」で、テンジクネズミとの触れ合い方法が新型コロナウイルス流行の前と後とで変更された。以前は抱き上げることができたが、現在は背中をなでるだけに。コロナの感染防止策と思いきや、意外な理由があった。
テンジクネズミは体長25センチ前後で、モルモットとも呼ばれる。園内に45匹おり、触れ合い体験は幼い子どもたちに人気がある。
以前は平日は1日2時間15分(1人当たり7分間)、週末は1日1時間半(人数が多い場合は1人当たり数十秒)、抱っこしたり膝に載せたりと、自由に触ることができた。しかし2020年春からのコロナ流行を受け、触れ合い体験は21年11月まで約1年半、休止になった。
すると、一部のテンジクネズミの体調にいい変化が表れた。同園によると、以前は消化管の不良などで治療が必要な個体もあったが、触れ合い体験を休止している間は治療回数が目に見えて減った。19年と20年の4~9月末の治療回数を比較すると、19年111件、20年61件とほぼ半減したという。
テンジクネズミは警戒心が強く、臆病な性質といい、園の獣医師は「触られることがストレスになり、消化管に不調を起こしていた可能性が高い」と説明する。
現在は、飼育ケースの外から頭や背中をなでる程度にとどめるよう、子どもたちに協力を求めている。さらに、ケースの中央にプラスチック製の筒を置き、触られたくないネズミが筒の中に退避できるようにした。
園は個体別のストレス度を測る検査も行い、触れ合い体験再開後の数カ月間の変化を観察する予定。「幼少期の頃に嫌な触られ方をすると、触れ合いが苦手になる個体もいる。抱っこするのを楽しみにしていた子どもたちには申し訳ないが、動物福祉の観点から理解してほしい」としている。
体験は午前11時~11時半、午後1時半~2時。市動物園075(771)0210。