京都市が救護施設への移行を計画している中央保護所。玄関には足腰が悪い人のために椅子が置かれていた(下京区)

京都市が救護施設への移行を計画している中央保護所。玄関には足腰が悪い人のために椅子が置かれていた(下京区)

中央保護所の居室。全室2人以上の相部屋で、1人当たりのスペースは1畳ほどのベッドだけだった

中央保護所の居室。全室2人以上の相部屋で、1人当たりのスペースは1畳ほどのベッドだけだった

救護施設の建設予定地

救護施設の建設予定地

 京都市の救護施設整備計画を巡り、市境を挟んで予定地と接する向日市の住民と京都市側の溝が埋まらない。市側が「救護施設は地域の最後のセーフティーネット」と理解を求めるのに対し、住民側は「施設の必要性はわかるが、なぜこの場所なのか」と反発を強める。そもそも救護施設とはどんな役割を担っているのか。救護施設に移行することになる京都市下京区の更生施設「市中央保護所」を訪ねた。

 中央保護所は、市の施設で、東本願寺北側の市下京総合福祉センター内にある。3階建てで、居室や食堂のほか、談話室、風呂などを備える。居室はすべて2人以上で使う相部屋で、1人当たりのスペースは一畳ほどとやや窮屈な印象を受ける。トイレは男性用しかない。

 入所者は14人で、平均年齢は62・4歳と3年前より12・7歳上がった。心身に障害を持つ人が増えているが、エレベーターがないことなどから設備面での対応が難しくなりつつあるという。尾崎功治施設長(44)は「車いすの人や女性は入所を断らざるを得ない」と嘆く。救護施設への移行後は、介護が必要な人や女性も受け入れるという。

 入所者のうち刑務所に入所歴があるのは4人。中央保護所の指定管理者となっている社会福祉法人みなと寮(大阪府河内長野市)の笹井信次事務局長(65)は「出所者の中には行き場がなく、就職口が見つからない人も多い。そんな時、就労に向けた準備期間を救護施設で過ごしてもらうケースがあるのは確か。だが出所者を専門に対応している訳ではない」と説明する。

 夕方の施設内では、入所者がテレビを見たり、談笑したりとリラックスした雰囲気で過ごしていた。「日中は外部の事業所で働いたり、施設内で清掃などの軽作業をしたりしている人もいる」と尾崎施設長は話す。

 市は昨年8月、救護施設の整備、運営事業者としてみなと寮を選定。伏見区の土地はその2年前にみなと寮が用意した。笹井事務局長は「市中心部で十分な広い土地を探すのは不可能だった。一方、地域から隔離された場所では入所者の就労先が見つけられず、地域移行が進まない」と訴える。入所者の自立のためには地域の理解が不可欠として、今後も住民への説明を尽くすと強調した。