多彩な鉄道資料が展示されていた「福知山鉄道館ポッポランド1号館」の内部。開館最終日には、多くのファンでにぎわった(3月31日、福知山市下新)

多彩な鉄道資料が展示されていた「福知山鉄道館ポッポランド1号館」の内部。開館最終日には、多くのファンでにぎわった(3月31日、福知山市下新)

 建物の老朽化で休館中の鉄道資料展示施設「福知山鉄道館ポッポランド1号館」(京都府福知山市下新)の今後について、市の諮問機関は今月、収蔵資料を公共施設などに分散移転させる提言案をまとめた。「鉄道のまち」の看板施設が事実上、解体される事態が想定され、市民や鉄道ファンからは心配の声が上がっている。

 北近畿随一の鉄道のまちとして発展した福知山市では、戦後、全国に27あった旧国鉄の鉄道管理局が府内で唯一設置され、約5千人が働いた。ポッポランドは市が1998年に市街地活性化の一環で開設。福知山駅周辺のジオラマのほか、旧北丹鉄道の備品や国鉄OBが提供した制服など500点超の資料を展示してきた。

 入館者は一時1万人を切ったが、4年前にJR西日本OBらでつくる委員会に運営が移行。元鉄道マンから国鉄時代の逸話や鉄道の知識が聞けると再び話題を集め、昨年度は2万3千人超が訪れるなど復活の兆しが見えだしたところだった。

 しかし、数年前から指摘されていた建物の耐震問題を理由に、市は昨年12月、再開を確約しないまま3月末での休館を決めた。「移転先を探してきたが、厳しい財政運営に見合う賃借料や立地条件の物件が見つけられなかった」(市産業観光課)としている。

 同館の今後について、市は7月にポッポランドのあり方検討委員会を設置。公募の市民や商店街、観光関係者ら委員10人による提言として、収蔵資料を丹波生活衣館や児童科学館、鉄道関連施設など市内6カ所へ分散移転させる案をまとめた。市は提言を受けて今後、資料の具体的な活用策を打ち出す方針だが、従来のような単体の資料館としての再出発は難しいとみられる。

 地元では、西日本鉄道OB会が市議会に早期再開設を求める嘆願書を提出するなど、ポッポランドの復活を望む声は根強い。同館があった新町商店街で洋品店を営む熊谷英子さん(69)は「子どもや孫を連れよく遊びに行った。休館後は商店街の人通りも減りさみしい」と嘆く。ポッポランド2号館の運営を担う「福知山SL保存会」の塩見充男会長(77)は「小さい館だが全国にファンがおり、みんな一生懸命やってきた。分散ではなく1カ所で再開させてほしい」と訴える。

 検討委の一人で、ポッポランド館長の足立和義さん(79)は「(提言案は)何とか『鉄道のまち』の火を消さないようにと考えた末の結論だった」と苦しい胸の内を明かす。その上で「資料には先人の努力が詰まっている。提言を機に『鉄道のまち』を拡大、充実させてほしい」と切望する。

 ポッポランドには、福知山の足跡と市民の思いが詰まっている。そんなまちの遺産を行政としてどう捉え、発信していくのか。市の姿勢があらためて問われている。

 検討委の最終会議は、29日午前9時、市民交流プラザふくちやまで開催される。見学自由。