高野さんが手作りしたハムやソーセージ。ハンバーガーやホットドッグ、一品料理も楽しめる(宮津市鶴賀・自家製工房t.ファーム)

高野さんが手作りしたハムやソーセージ。ハンバーガーやホットドッグ、一品料理も楽しめる(宮津市鶴賀・自家製工房t.ファーム)

定番メニューのロースハムバーガー

定番メニューのロースハムバーガー

 店に入るとほのかな薫製の香りが漂う。自家製工房t.ファーム。カウンター横に置かれた冷蔵ケースにはハムや辛口ソーセージのチョリソーが収められている。精肉加工職人の高野利男さん(71)のお手製だ。「元々、ハンバーガー店のつもりだったんだけど、ハムそのものを買いたいというお客さんが多くて」とケースに手をやった。

 30代の頃、東京でクリーニング店を経営していた高野さんは、居酒屋で知り合ったスペイン料理店の社長に誘われてハム作りの道に進んだ。決め手は世界三大ハムと呼ばれるハモン・セラーノ。「塩気の中に甘みがあり、豊かな香りに感動した」と振り返る。

 山梨県で料理店系列の加工場の工場長を6年間務めた後、業界で名が知られ、各地で技術指導の依頼が舞い込むようになった。横浜市や名古屋市、甲賀市などでハム作りを手ほどきした。

 宮津市と縁ができたのは2020年。同市のハム工場から声が掛かり、指導に訪れた。この道40年、培ってきたものを発揮したいとの思いが強まり、店を構えた。

 素材の良さが分かるハンバーガーや、ビールのつまみになる品がメニューに並ぶ。定番のロースハムバーガーは、全粒粉のバンズにシャキシャキとしたレタスの食感が楽しめ、後からハムの香りとうまみが口に広がる。

 新型コロナウイルス禍の船出となり、これまでに4度の時短営業を強いられた。だが、高野さんは前を向く。今年に入り、原点となったハモン・セラーノ作りに取り組んでいる。「気候や温度的にうまくできるかちょっと心配だけど、あの感動をみんなにも味わってもらいたいから」。高野さんは照れくさそうに笑った。

 ■自家製工房 t.ファーム 京都府宮津市鶴賀2070の35。午前11時~午後5時、午後6時~10時。3月6日まで午前11時~午後8時の時短営業。水曜定休。090(4953)2929