府内に6カ所ある3次救急医療機関の京都医療センター(京都市伏見区)

府内に6カ所ある3次救急医療機関の京都医療センター(京都市伏見区)

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の流行で、患者の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が京都市内でも増加している。2月上旬にかけて3週連続で過去最多を更新し、1月31日~2月6日には1日平均20件近くに上った。現場では何が起こっているのか。

 「コロナ疑いの患者さんが、どんどん入ってくる状況。高齢者施設でクラスター(感染者集団)が発生し、『救急患者が20人いる』との要請を受けたこともある」。京都医療センター(京都市伏見区深草)の寺嶋真理子・救命救急センター長はオンライン取材に対し、現状を語った。

 センターは、すぐに入院が必要な重症患者を主に受け入れる3次救急医療機関。コロナ前の夜間は「5件程度」(寺嶋医師)だった受け入れ件数は、今回の流行「第6波」で急増。6日夕から7日朝までの間にはコロナ患者3人のほか救急車13台を受け入れた一方、医療態勢が整わず、コロナ疑いの患者の10件ほどは断らざるを得なかった、という。

 京都市消防局によると、困難事案は1月17~23日に108件で過去最多となり、24~30日は116件、31日~2月6日は136件と更新を続け、7日~13日は123件と微減した。寒さの厳しい冬場はもともと脳疾患や心筋梗塞などが起こりやすく、119番通報が増える時期。そこにオミクロン株流行が重なり、困難事案の増加に拍車を掛けている。

 6日までの1週間の救急要請件数は1925件と、2020年同期比で240件増加。過去の第5波で最も困難事案が多かった8月下旬の週では、困難事案に占めるコロナ疑いの患者は1割程度だったが、今回は3割を超す。結果、コロナ以外の病気やけがの患者にしわ寄せがきている形だ。

 センターが搬送を断った背景には「病棟閉鎖」もある。今回、一般病棟の複数の病室で感染が発生したため、感染拡大防止を目的に、そのフロアに追加の入院患者を入れない措置をとった。1月11日~2月6日の間に一般の499病床のうち最大93床を閉鎖し、新規患者を受け入れられなかった。寺嶋医師は「コロナ病床はもちろん、一般病床にも影響が及んでいる」という。

 オミクロン株は第5波で主流だったデルタ株に比べて重症化率は低いとされるが、寺嶋医師は「別の病気がある人や高齢者も感染しやすく、状態が一気に悪化する例が増えている」と指摘。そうした患者は、コロナが軽症でも入院を継続する必要がある場合があり、病床使用率の高止まりにつながっている。

 京都府内49病院のコロナ病床は872床(17日現在)。半年前と比べて307床増えたが、医療センターのように一般病床を減らして対応している医療機関も多いとみられる。

 京都府医療課は病床逼迫(ひっぱく)を受け、2月上旬、コロナ回復後の患者を受け入れる「療養支援病床」を持つ病院に対し、受け入れをさらに進めるよう依頼した。「まずはコロナ病床の使用率を下げ、医療従事者の負担軽減につなげたい」とするが、コロナ感染者が減らない限り、抜本的な改善は難しそうだ。

 救急搬送困難事案 救急隊が患者の受け入れを4カ所以上の病院に照会し、かつ、現場滞在時間が30分を超えたケースを指す。総務省消防庁が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年4月に定義し、週ごとに全国の数を集計している。「第6波」で全国的に急増しており、2月7日~13日は5740件で、前年同期の2・5倍となった。