事実上破綻している「核燃料サイクル」の延命策ではないのか。

 日本原子力研究開発機構と三菱重工業などが、米企業の高速炉開発に技術協力することになった。

 一般の原発と違い、高速の中性子を核分裂に利用する原子炉で、2024年に着工する計画だ。

 技術協力の具体的な内容は協議するというが、16年に廃炉が決まっている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)の運用経験などの情報交換や、難しいナトリウム利用の技術が念頭にあるようだ。

 もんじゅは1995年にナトリウム漏れ事故を起こしている。もんじゅの代替とされる実験炉「常陽」(茨城県)も装置の破損事故で07年から停止、原子力規制委員会の審査に通らず再稼働の延期が続いている。

 日本の核燃料サイクルの中核とされたもんじゅだが、短期間しか運転していない。国内の高速炉開発は、事故やトラブル続きで行き詰まっているのが現状だ。

 米企業への協力は、開発継続につなげたい思惑からだろう。

 しかし、専門家からは「協力の意義は限られている」との指摘も出ている。米企業の高速炉はウラン燃料を使い、使用済み燃料を再処理しないなど、日本の計画と異なるため、国産高速炉の実用化に直結しないという。

 それでも協力するのは核燃料サイクルへの固執からではないか。エネルギー資源に乏しい日本にとって、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、繰り返し使える「夢のエネルギー」とされた。しかし実験炉から原型炉、実証炉、実用炉に進める計画は原型炉もんじゅで頓挫している。

 海外に活路を求め、政府はフランスと共同で取り組む実証炉「アスリッド」計画に期待をかけたが、フランス側が「緊急性が低い」と凍結した。

 プルトニウムを取り出す核燃料再処理工場(青森県)はトラブルなどで完成延期を重ねている。海外で再処理した大量のプルトニウムを消費するため、ウランと混ぜたMOX燃料を原発に使うプルサーマル発電も福島第1原発事故後に導入できたのは4基にとどまる。

 もんじゅだけを見ても、1兆円超の国費が投じられ、進行中の廃炉作業に3800億円近くかかる見込みだ。

 実用化の見込みが立たない核燃料サイクルに、今後も国民の税金を投じていいものか。米企業への協力より先に、根本的な見直しを議論すべきだ。