京都市が、市有地の売却を積極的に進めている。

 今月15日に本年度の一般競争入札を行い、中央食肉市場の余剰地(南区)や旧北消防署(北区)など7カ所が落札された。売却額は計42億円で、予定価格の1・6倍となった。

 市財政は慢性的な収入不足で実質的な赤字が続いている。使わなくなった施設の跡地や未利用の空き地などの売却は、まとまった収入を確保するための有効な手段と言える。

 ただ、市有地は市民の貴重な財産でもある。売却が市民生活に本当に有益かどうか、十分な吟味が欠かせない。

 市の土地利用は2012年に策定した資産有効活用基本方針が根拠だ。公共性や公益性を重視した政策的活用を検討し、活用が見込めない場合は積極的に売却や貸し付けを行うとする。

 売却は必ずしも思惑通りに進んでいない。当初は賃貸収入を含め年50億円を確保するはずだったが目標に届かず、16年度からは5年で100億円に引き下げ、ようやく達成した。22~25年度の4年間でさらに100億円の収入を目指し、22年度当初予算案では前年度当初比12億円増の29億円を見込む。

 だが、売却は簡単ではない。

 土地の需要は経済情勢だけでなく、場所や周辺の開発状況などにも左右される。15日の入札では北区の旧鷹峯市営住宅が売れ残った。昨年に入札を2度行った上京区の市有地はいずれも不調に終わり、予定価格を4割引き下げた。結果的に予定価格の1・3倍で落札されたが、売却のタイミングを見計らうことの重要性を改めて示した。

 伏見区の東部クリーンセンターのように建物が現存している場合は撤去費がかかるため、売却の準備にも時間がかかる。

 市有地の売却を決める前に、十分な活用策を考えるべきだ。そのためには民間のニーズと結びつけるなどの工夫も要る。

 市の歳出入の在り方を検討する有識者会議でも活用問題が議論された。昨年11月の会合では民間への具体的な情報提供の必要性が指摘されたほか、所有権を市が維持したまま運営を民間に委ねるコンセッション方式の導入などを求める意見が出た。

 今後の活用にあたっては、さまざまなアイデアを採り入れ、柔軟な方法を探ってほしい。

 売却を予定する土地の中には、時価が取得価格に比べて大幅に下落している物件もある。

 市上下水道局が所有していた伏見区横大路の土地約1万平方メートルは交通アクセスが良く、昨年2月の入札は7社による激戦の末、予定価格の3倍超の30億円で落札された。

 ただ、同局が市土地開発公社から取得した金額は50億円で、企業会計上は実質的に20億円の「損失」が出た。

 バブル期に先行取得し、「塩漬け」となっていた土地で、結果的に活用の見通しが甘かったと言わざるを得ない。

 公共の土地を売る以上、その結果が市民生活や行政サービスの維持・向上にどうつながるかについて、十分な検証と説明を忘れてはならない。