物語の先を見てみたい

 細かく描き込まれた優しい絵と楽しい物語。「ふしぎなえ」「旅の絵本」などで知られる安野光雅さん(1926~2020年)の追悼展「安野先生のふしぎな学校」が25日から、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで始まる。

さんすう 「ふしぎなのり」 『はじめてであうすうがくの絵本1』より 1982年

 安野さんは画家になる前の昭和20年代、小学校の代用教員などを務めた。教科書も不足する時代だったが指導法を工夫し、それによって創作力や人を楽しませる能力をさらに磨いた。

こくご 『かげぼうし』より 1976年

 本展は、教員時代に着目し、「こくご」「さんすう」など教科名をつけた10章に分けて作品を並べた。

 「こくご」で紹介する絵本「かげぼうし」は、アンデルセン童話「マッチ売りの少女」から解釈を広げた。二つの物語が同時進行し、意外な終わり方を迎える。「めでたし、めでたし」と見せながら、物語の行方を心配させるところが安野さんの狙いだろう。

えいご 「キツネとブドウ」 『きつねがひろったイソップものがたり1』より 1987年
しゃかい 「伯林 ベルリン」 『西洋古都』より 1981年

 「えいご」に分類した「キツネとブドウ」も、元のイソップ童話からキツネのお父さんが勝手に話を膨らませる。「しゃかい」で取り上げた「西洋古都」は、遠い街の暮らしが生き生きと描かれ、自分もそこにいるような気分になる。

おんがく 「春が来た」 『歌の絵本-日本の唱歌より-』表紙 1977年
りか 「マッチの種」 『空想工房の絵本』より 2014年

 書籍の装丁、舞台ポスターなども含め、約120点で安野先生の「授業」を満喫できる展覧会だ。

安野光雅さん 
©空想工房 画像提供:津和野町立安野光雅美術館


【会期】2月25日(金)~3月27日(日)会期中無休
【開場時間】午前10時~午後7時30分(入館は閉館30分前まで)
【会場】美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
【入館料】一般900円、高・大生700円、小・中生500円。
【主催】美術館「えき」KYOTO、京都新聞
【企画協力】津和野町立安野光雅美術館、アートワン