ロシア軍がウクライナに侵攻した。

 国際社会の度重なる警告を無視し、軍事作戦に踏み切った。

 武力によってウクライナの主権と領土を侵害する行為で、容認できない。ただちに撤退すべきだ。

 ロシアのプーチン大統領は、軍事作戦の対象を親ロシア派が実効支配する東部ドンバス地域だと説明し、「ウクライナの占領は計画していない」としている。

 しかし、首都キエフなど国内各地の軍事施設をミサイルで空爆した。なぜ広範な地域への攻撃が必要だったのか。全土への侵攻が目的との懸念が生じても仕方ない。

 ウクライナ側が総力で反撃に転じれば、全面戦争に発展する恐れもある。欧州は冷戦終結後、最大の危機に直面している。

 国連や欧州連合(EU)、米国など各国は相次いでロシアを批判する声明を出している。武力行使をこれ以上拡大させないよう、国際社会の一体的な対応が必要だ。

 プーチン氏は、独立を承認した東部の2地域トップから軍事支援の要請があったことを侵攻の名目にしている。ただ、2地域の幹部は現在の支配地域を越えて東部の州全体の支配を目標に軍事作戦を行っていると述べたという。

 戦火がどこまで広がるか、予断を許さない。ウクライナ軍には数十人の死者が出ているとされる。北部のベラルーシ側や南部のクリミア半島側からも地上部隊が侵入したとの情報もある。

 バイデン米政権は、全面侵攻は甚大な人的被害をもたらすと強調し、EUや日本と連携して対ロ経済制裁の第1弾を発動している。

 侵攻が始まったことで、いっそうの厳格化を打ち出した。

 ただ、バイデン氏は米ロの直接対決は核戦争になりかねないとして、ウクライナへの派兵を繰り返し否定している。同国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもなく、米国に防衛義務もないとの構えだ。

 厳格な経済制裁を中心とした対抗策でプーチン氏のもくろみを制御できるかは見通せない。

 他国への侵攻は第2次大戦後の国際秩序に対するあからさまな挑戦だ。放置すれば、アジアなどでも同様の行為が起こりかねない。

 各国が結束してロシアに向き合えるかどうかが問われる局面だ。

 ロシアも経済的打撃や各国との関係悪化というマイナスを背負うことになった。国際社会から孤立を深める状況に国民の理解が得られるか、よく考えるべきだ。