湖南市の地域包括支援センター運営イメージ

湖南市の地域包括支援センター運営イメージ

 滋賀県湖南市が新年度に民間委託する地域包括支援センター4支所のうち、3支所が生田邦夫市長関連の法人に決定したことが27日に分かった。市によると、1支所は応募がなく市直営となるため、事実上の市長関連法人の独占受託となる。市は「他に応募がなかった」としている。

 市は直営で行ってきた同センター事業を2022年度から2年間、市直営の本所と民間委託の4支所で運営する。24年度から直営の本所を廃止し完全委託に移行する計画だ。

 市によると、21年12月に支所の委託先を公募したところ、うち1カ所に市長が理事長の医療法人、うち2カ所に20年秋の市長選まで市長が理事長を務め、現在は親族が役員である社会福祉法人が応じた。他に応募はなかった。契約は2年間で委託費は1カ所2300万円。主に職員2人分の人件費という。

 同事業を巡っては、市が「現状でも体制が十分でなく、今後は市直営方式だけでは厳しい」として、機能強化のあり方を検討するよう第三者委員会である同センター運営協議会に依頼。協議会は計5回の会合を経て昨年11月、「民間に業務の一部を委託することも選択肢」という答申を市長に提出した。市は「小規模多機能自治」という市長方針を踏まえ、新たに4支所を置いた上で委託を決めた。

 協議会の議事録によると第1、2回会合には市長が出席。「公が全てのサービスに取り組むのは終わった」「今までできなかったことに取り組むとすると(中略)委託につながる」などと発言。利益誘導への懸念には「成り立たせるためには営利を求める」と答えていた。
 

 生田市長は取材に対し、医療法人の理事長職辞任の意向を示した上で「市の高齢者対応を巡る状況は待ったなしだ。批判は承知だが手順は踏んでおり、市内の法人が公募に応じなかった事情もある。赤字覚悟であり、現場で頑張って理解してもらうしかない」と述べた。

■問われる政治倫理

 新川達郎同志社大名誉教授(地方自治論)の話 高齢化や人口減少で財源確保が厳しくなる自治体では選択と集中が大命題で、民間委託は一つの方向性と言える。だが、契約を結ぶ市と法人は互いの利益がぶつかる関係であり、仮に違法でないとしても双方の代表を務める市長の政治倫理は厳しく問われるべきだ。また、市内に委託を受けられる法人が少ないとはいえ、契約に至る手続きは適正だったのか。市長には丁寧な説明が求められ、議会もチェック機能を果たさなくてはいけない。