「証拠が提出されない状況がもどかしい」と語る西山さん(1日午後、大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館)

「証拠が提出されない状況がもどかしい」と語る西山さん(1日午後、大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館)

 滋賀県東近江市の湖東記念病院での患者死亡を巡る再審で無罪判決が確定した元看護助手西山美香さん(42)=彦根市=が、国と滋賀県に国家賠償を求めた訴訟の進行協議が1日、大津地裁であった。原告の弁護団は協議後の会見で、県側が刑事裁判で扱った証拠を全部出すと確約したことを明かした上で、被告側の二転三転する訴訟態度で訴訟の進行が遅れていると批判した。

 刑事裁判の被告側が再審請求や再審公判で検察官の開示を受け謄写した証拠を国賠訴訟で提出することは、刑事訴訟法で「目的外使用」として禁じられており、証拠提出は原則的に被告側に委ねられている。

 西山さんの国賠訴訟では、弁護団が昨年4月、「捜査の違法性の解明には広く網羅的な証拠の開示が必要」として、刑事裁判の記録一式を提出させる命令を出すよう地裁に求めた。6月、国側が供述調書など108点を提出したが、弁護団は必要な証拠の一部でしかないと反発していた。

 この日の進行協議後、西山さんと弁護団が会見し、国側が2月28日、新たに西山さんの供述調書など86点を提出したと説明した。原告が求める西山さんの供述に関わる証拠は全て提出されたという。さらに、死因に関する証拠などを3月下旬までに出すか検討中と説明したという。

 県側も、刑事裁判の記録の全てを3月10日までに提出するよう確約したという。刑事裁判で提出されていない証拠の有無については、今後の準備書面で明らかにすると説明したという。

 弁護団は、県、国側の任意での提出が終わった後、なお不足している証拠について提出を命じるよう裁判所に求める方針。

 井戸謙一弁護団長は「県側は当初は全て提出すると言っていたが、その後、全部提出するとは言い切れないと態度を変えて提出期限を遅らせ、半年近く空転することになった」と批判した。

 西山さんは「時間がかかっても良いので、きちんと審理してもらい、他の冤罪(えんざい)被害者の力になれたらという思いで頑張りたい」と述べた。