保健所の業務逼迫に伴い、保育園などに「疫学調査」を依頼した市の文書

保健所の業務逼迫に伴い、保育園などに「疫学調査」を依頼した市の文書

京都市役所

京都市役所

 京都市は、新型コロナウイルスの「第6波」による保健所の業務逼迫(ひっぱく)を受け、1月下旬から保育園などで陽性者が出た場合、濃厚接触者らを特定する「疫学調査」を施設側に委ねている。濃厚接触者と判断する重責や、急増する家庭内感染への対応など、緊迫の日々を送った園を取材した。

■濃厚接触者特定、根拠に自信持てぬまま

 変異株「オミクロン株」の急拡大で、市は保健所による疫学調査は困難と判断。1月25日付で保育園(認定こども園、小規模保育事業所など含む)や私立幼稚園に施設側で行うよう通知を出した。

 2月上旬に陽性者が出たある保育園では、保護者への休園連絡や園内の消毒、給食食材のキャンセルなどと並行し、濃厚接触者の割り出しを急いだ。

 市が示した「互いにマスクなし、または感染者がマスクを着用せず、手が触れる距離で15分以上会話した」などの基準のほか、感染対策で日頃から撮影していた給食や昼寝の時の写真も判断材料にした。ただマスクを着けた子どもが少ない上、あちこち動き回ることから接触時間も細かく計れておらず、根拠に自信が持てないまま濃厚接触者を特定した面は否めないという。

 園長は「以前に陽性者が出た時は保健所から詳しく聞き取ってもらったが、今回は自分たちで判断する必要があり、『これで大丈夫か』と迷いがあった」と話す。実際、濃厚接触者と判断しなかった園児が、後に発熱して陽性と判明するケースもあったという。

 京都市では感染者の急増で、1月中旬からPCR検査の結果を保護者に伝える役割も各園が担うように。園長は「専門的な知識がないため詳しく説明できず、保護者も不安に思ったのでは」と語る。

■朝から晩まで電話、まるで保健所のよう

 各園は、家庭内感染の状況についても市への報告が求められている。この園では休園後、園児のきょうだいや保護者ら家庭内感染が急増。園職員が保護者から家族構成や発症日、症状などを聞き取り、受診できそうな医療機関や療養・待機の期間を計算して伝えた。「朝から晩まで電話が続き、行事や新年度の準備などの通常業務は完全にストップ。保健所のようだった」

 一方、別の保育園の園長は、市から任された調査について「濃厚接触の有無をできるだけ早く保護者に伝えるため、迷った時は検査対象者を広めに判断した」という。この園でも保護者の不安解消のための対応が続き、「とにかく忙しかった」と振り返る。

 両園長は、多忙を極める保健所職員らに理解を示しつつ、「陽性者に連絡がいくまで1週間ほど掛かるケースもあった」として、非常時にも対応できるよう保健所の態勢強化を求める。

 市幼保総合支援室には園側から「PCR検査まで速やかにつなげられるようになった」「濃厚接触者の判断が難しい」といった声が寄せられているという。

 市はまん延防止等重点措置の解除後、園側に任せている濃厚接触者の調査について、運用の見直しを検討するとしている。